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『学科だより 2005年秋号』

学科ニュース

・国語科教職課程の準備が進んでいます

平成18年度4月からの国語科教職課程の開設に向けての準備が、 着々と進んでいます。免許の種類は、中学校一種国語、高等学校一種国語で、 同時に、学校図書館司書教諭資格の取得についても、準備が進んでいます。

従来から、本学科で取得が可能である「図書館司書資格」「博物館学芸員資格」 「情報処理士資格」についても、引き続き取得が可能です。 この他、希望者に対しては、 情報処理技術者の国家試験である「システムアドミニストレータ初級」の 受験対策のためのカリキュラムも正規の授業の中に組み込まれており、 本年度も複数の学生が合格しました。

学科だより(2005年秋号)

人間文化学科の3回生のゼミ紹介

人間文化学科では、各学生は3回生に進級する時点で、 一つのゼミを選択します。各ゼミは、学科の専任教員により、 「人間文化特論」の授業時間を中心に活動を行なっています。 専門教育科目で得られた知識を踏まえて、より高度な専門分野の研究法を習得し、 卒業論文作成の基礎知識を育成する、大切な授業です。

今回の学科だよりでは、2005年度の人間文化学科の11のゼミの中から、 2つを紹介しましょう。


情報文化学領域 「出版文化論ゼミ(担当者:岡村敬二)」

3回生のゼミ生は4名。その全員が博物館学芸員の資格取得を目指している。 初回のゼミで、おぼろげであってもよいからと学生諸君から学びたい分野を聞かせていただいた。そしてその希望により当面は、図版が多く掲載された江戸時代の京都地誌『都名所図会』を読むことにした。昨年のゼミ説明会の時にゼミ方針として、資料に基づいて論証していく姿勢、教室で学んだ資料を持ち街に出でて街に学ぼう、と宣言したこともあり、今回は読み進めていった「都名所」のなかから北山近隣の松ヶ崎本湧寺(現湧泉寺)や松ヶ崎大黒天に出かけてみたりした。この大黒天(妙円寺)から裏山を少し登ってみるとそこは五山送り火の一つである妙法の「法」にあたる東山である。山道を「法」の中腹まで登っただけだがそれでも京都市内が見晴らせてなかなかよい気分であった。

6月の土曜日にはゼミ時間外になるが大阪の国立文楽劇場に出かけ、近松門左衛門作「冥土の飛脚」から「新口村の段」を鑑賞した。もちろんこの文楽鑑賞会に先立って学生諸君は、文楽の歴史や近松門左衛門、演目の「冥土の飛脚」など調べてゼミ時間に発表を行った。つまり十分に予習をしたうえで劇場に臨んだというわけである。公演が終わって道頓堀界隈を少し散策し、心斎橋から地下鉄で梅田に出て「曾根崎心中」のお染久松「お初天神」にお参りし、その時代の人々の暮らしや出来事に想いをはせた。

もちろん岡村ゼミではお出かけやお楽しみばかりというわけではなく、ことあるごとに本や雑誌、雑誌記事・新聞記事など資料情報の入手方法について繰り返し、コンピュータで実践し、また図書館で関連の資料にあたったりと基礎的な修養も積んでいる。

また今年のゼミ生諸君の予定卒論テーマに関する資料が大学からすぐ近くの京都府立総合資料館に所蔵して在りそうなので、秋学期には出向いてこの図書館の資料をぜひ手の内に入れ、資料に依拠した卒論作成に向かいたいと考えている。

寺町御池の古書店の店頭での写真
写真:古書店「佐々木竹苞楼(宝暦元年=1751年創業)」の店頭にて

2005年7月、「現代出版論」の授業のおまけで時間外に「寺町ツアー」を敢行した。 所期の目的は寺町の古書店を訪問する、というものだったが、せっかくなので近隣の、 高瀬川一之舟入・梶井基次郎「檸檬」の果物店・本能寺・錦の天神さん・ 錦市場・喫茶「フランソワ」などを見て回った。暑い一日だったが、 楽しかったと学生諸君は感想を述べてくれた。(2005年9月1日 岡村記)


交流文化学領域 「イギリス文化論ゼミ(担当者:服部 昭郎)」

<ゼミで何を学んでいるか>

タイトルに示されているように、我々の学びの対象はイギリス文化です。平成17年度は有名なシェイクスピアの劇「ヴェニスの商人」をめぐって様々な研究課題を開拓しています。春学期のはじめは作品を厳密に経験することから開始しました。この厳密な経験とは、もちろん「読むこと」を基本としていますが、クラスではBBC製作の「ヴェニスの商人」ビデオ映像も使いました。シェイクスピアは歴史的にはかなり古い時代の劇作家ですから、オリジナルなテキストは英語を母語とする人たちでもそんなに簡単に理解出来ません。でも、学生諸君向けのいろいろな案内書を利用すれば、十分に読みこなすことが出来ます。学生諸君それぞれがオリジナル版を持ち、果敢にチャレンジしました。

<こんな発見がありました>

「ヴェニスの商人」を経験する過程で我々はいろいろな発見をしました。例えば、劇の中心人物のひとりシャイロックはユダヤ教徒の高利貸しですが、「ユダヤ教徒高利貸し」をめぐってはたいへん複雑な歴史的経緯があったことを知りました。また、劇の舞台となった古都ヴェニスが政治的にはかなり自由な風土であったにも関わらずいわゆるユダヤ教徒ゲットーの発祥の地であったという発見は、豪華絢爛たる文化遺産を残す古都の別の一面を知ることにつながりました。

<フィールドワークは映画鑑賞>

平成17年度我々は「ヴェニスの商人」をイギリス文化論の基礎資料に選びましたが、偶然にも新しい映画バージョンが世に出ました。アルパチーノがシャイロックを演ずる実に興味深い作品です。早速DVD版をイギリスから取り寄せ鑑賞しましたが、やはり劇場で見なけりゃ、ということで秋学期にはいり連れ立って映画館に出かけました。教室で様々な観点から「ヴェニスの商人」にアプローチしてきた我々にとってまたとないフィールドワークとなりました。もちろん見終わった後はそれぞれ感動を胸にギネスで乾杯。

   名優ヘンリー アーヴィングのシャイロックの写真
写真:「名優ヘンリー アーヴィングのシャイロック」

<卒業研究への展望>

我々は「ヴェニスの商人」という文学作品を扱っていますが、その意図は文学を鑑賞するためではなく、作品を題材にして広く文化論を展開しようというものです。例えば、劇場の舞台構造の歴史にターゲットをしぼるもの、利子をめぐるキリスト教会の論議に焦点をあわせるもの、様々な「ヴェニスの商人」のヴァージョンを比較しようとするもの、いわゆるゲットーに象徴される西洋のユダヤ教徒の歴史を考えようとするもの、等々へ学生諸君の視線が移動しています。彼女たちが現在温めている卒業研究課題は多種多様で一見バラバラのようですが、すべては「ヴェニスの商人」という基礎資料の経験にその源があります。若い知性が躍動する「ヴェニスの商人」文化論が出来上がるものと確信しています。(2005年11月11日 服部記)


(2005年秋号おわり。編集担当者:よ)

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