京都ノートルダム女子大学人間文化学科

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寺町頭のお寺と掃苔のフィールドワーク 2008年10月1日(水)

 

 今年の3回生専門ゼミクラスは、フィールドワークに出かけるにはたいへん都合がよい。ゼミ時間の前のコマが6名全員空いていて、この水曜の午後を使うと約4時間近くを回ることができるのだ。今回は、三条・四条方面の寺町ではなく、寺町今出川から北へ、寺町通りのどんつきまで歩くことにした。
 待ち合わせは河原町今出川。わたし自身が待ち合わせの時間を間違えて、1時間ほど早く到着してしまったので、近くにあったレコード屋さんに入ってみた。津田蓄音機店といったかな、思いがけずたくさんのレコードが置いてあって、熱心に探してしまった。最近、マイクロ精機製のレコードプレーヤーを修理したので近頃はレコードばかり聴いている。JAZZはレコード盤しか買わないと決心して久しいが、こんなにクラシックもレコードが置いてあると、クラシックもレコードで、って思ってしまう。
 と言っているうちに学生諸君が登場して、まず寺町通りへ。少し上がって西に入ったところの、幸神社(さいのかみのやしろ)に向かう。祭神は猿田彦神ほか。社の東北隅に御幣を持した猿の像があって日夜鬼門を護っている。
 寺町通りにもどって、本満寺、仏陀寺、十念寺を経て、阿弥陀寺へ。今回のフィールドワークの目的のひとつはこのお寺の織田信長墓所掃苔だ。たいへん便利な書誌である寺田貞次著『京都名家墳墓録』を頼りに本堂から墓地に入ると、突き当りに織田家の墓域がある。真ん中が織田信長墓、側面に「天正10年6月2日」と本能寺の変の日付、両側には織田信忠・織田信孝とならぶ。北側には南面して、森蘭丸長定墓・森長隆墓・森長氏墓が並んである。このように阿弥陀寺に織田家などの墓所があるのは、僧清玉が本能寺の変の後に遺骨を奉じて当時に在った蓮台野の同寺に納め、その後の寺院の寺町への集合化により寺町に移転してここに祀られてあるのだという。

   
信長の墓所 阿弥陀寺  

信長の墓所 阿弥陀寺

 

 
 

 少し歩いて天寧寺に。ここには茶人の金森宗和の墓所がある。またこの表門は、ちょうど比叡山が遠望できることから、額縁門とも言われる。この日はたいそう天気が良かったので、記念撮影に及んだ。

 
額縁門の天寧寺  

額縁門の天寧寺

 

 

 天寧寺をあとに、寺町通りをひたすら北上すると鞍馬口通に出る。鞍馬口は、京の七口のひとつで、鞍馬街道へと続く。通りの少し西から北へと道筋があるのだが、この鞍馬口通りが寺町通りの北のどんつきになる。ここに上善寺がある。京の六地蔵巡りのひとつ深泥池地蔵尊はもと深泥池畔の地蔵堂に祀られてあったもので、それがここに移された。『都名所図会』にその図が載る。このあたりの事情は、わたしの担当授業科目の「京都資料論(=図書館特論)」でやってきたところだ。
 門前に、禁門の変で戦死した長州藩士の首塚の石柱がある。境内で地蔵堂にお参りしてから、庫裏から墓所に入れていただく。先の『京都名家墳墓録』に導かれて「上善寺境内長州人首塚碑」へ。三重の台の上に小さな石碑があり、その右の碑に来歴が記されてある。『墳墓録』から漢文を読み下してみると次のようになろうか。

 

上善寺境内長州人首塚碑

元治甲子の変、越後藩士これと長州藩士と皇城堺町門において戦い首八級を獲れり。越藩軍務官桑山十蔵ここにおいてこれを葬り、石を建ててこれを標せり。然るに経年これをするところ久しく世人知るもの尠なし。明治三十八年福井県人田辺政之介たまたまこの塚を見てこれを毛利公邸に報ず。公これを聞きて人を派し事実を攻覈せしむ。しかしてその姓名を知るを得たる者七人なり。曰く贈正四位入江九一、曰く贈從四位原道太、曰く贈正五位半田門吉、曰く贈正五位奈須俊平、曰く田村育藏、曰く緒方彌左衛門、曰く小橋友之輔、その余一人いまだ所考するにあらず。公命じて域を修め祭資を当寺に寄し永く冥福を祈らしむ。野衲慎みて事由を記しもって後人に諗す。
明治40年9月

上善寺現住載誉運外誌

 

上善寺門前  

上善寺門前

 

 
 

 上善寺をあとに、少し北上して紫明通りに出て、東に進路をととり、賀茂川畔にでる。改修中の北大路橋を渡って、いつものコースだが、疏水分線が賀茂川をくぐらんと地中にもぐる地点を確認して大学にもどった。
 今回のフィールドワークは、寺町通りの北に位置するお寺をめぐり寺町頭辺を歩いてみること、墓碑銘を読むことで歴史を感じることができること、「墳墓録」という便利な書誌がありそれが大いに参考になることを体感する、というのが目標であったが、お天気の良いのにも助けられて、たいそう爽やかでよい巡覧となったと思う。 

 
 
 
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