京都ノートルダム女子大学人間文化学科

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人間文化学科

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演習クラス

 
2008年3月3日 伏見港周辺景観ツアー(卒業フィールドワーク)
 

毎年卒業式の少し前の時期に、卒業する4回ゼミ生ともども、最終のフィールドワークに出かけることにしている。その年度の卒業論文に取り上げられた京都関係のテーマから、関連地域を「卒業フィールドワーク」と称して出かけるというものだ。昨年は、「古都 鎮魂の道を行く」と題して下御霊神社から霊山までを歩いた。

今年はゼミ生のひとりが卒論に「京都の新たな景観政策」との論題で京都市の景観保全のテーマを取り上げた。この学生が卒論のために実際に歩いて取材をした個所は、銀閣寺半鐘山宅地開発問題(京の山並み)、鴨川のフランス風橋梁建設計画(京の川筋)、老舗旅館「俵屋」隣接のマンション建設(京の町並みと暮らし)の三箇所だったが、今回の「卒業フィールドワーク」では、少し南にさがって伏見港界隈の町並みと伏見城外堀の濠川、宇治川派流周辺を回ることとした。例によって周辺地図と巡検個所の概要、それに『淀川両岸一覧』や『都名所図会』から図版を用意して当日に臨んだ。

昼過ぎに近鉄桃山御陵前駅で集合してまずは駅の東に所在する御香宮神社に。このお宮は、平安時代に境内から香良き水が涌き出たことから「御香宮」と称することとなる。また豊臣秀吉は伏見城築城にあたって願文と太刀を献じ、また幕末期伏見鳥羽の戦いの時に、伏見奉行所に幕府軍が陣取ったのに対して、この神社は官軍が占めて屯所とした。このようにこのお宮は歴史の深い神社である。伏見城大手門であった表門から入り、拝殿、本殿へと進んでお参りをする。本殿横に湧きでる件の御香宮をいただいて、遠州ゆかりの石庭を拝観し、しばし安らぎのひととき。

御香宮(『都名所図会』本学蔵)

御香宮(『都名所図会』本学蔵)

御香宮神社拝殿

御香宮神社拝殿

御香宮神社をあとにして伏見大手筋から南にとり、鳥せい本店横の「白菊水」から月桂冠大倉記念館へ向かう。少し時間の余裕があるので先に宇治川派流弁天浜近くの長建寺に出かけた。ここは真言宗醍醐寺派のお寺で弁財天が本尊。弁財天は七福神のひとつだが、わたしたちのゼミでは3回生の早い時期に、大学近くの松ヶ崎大黒天にも出かけたこともあり、そうしたことをなど懐かしく思い出しながら参拝する。

そして月桂冠大倉記念館に入館して見学。あらかじめ予約をしておいたので、内部までをまことに丁寧に説明していただき、よい勉強になった。この大倉酒造では「さかみず」が湧き出でていてこれもおいしい。見学のあとそれぞれにお土産を買って、また展示されていた伏見の古地図(複製)で川やお堀の位置を確認してから酒蔵をあとにする。記念館を出て柳の並木の川筋に白壁の町並みが美しく映える宇治川派流を歩くことに。

大倉記念館前

大倉記念館前

大倉酒造を背景に宇治川派流

大倉酒造を背景に宇治川派流

宇治川派流の分岐前は濠川で、これは秀吉が伏見城を築くときの外堀、それが明治期に琵琶湖疎水とつながることになる。つまりこの濠川の水は、琵琶湖疎水の鴨川運河からの流れということになる。この派流を歩きながら、この川筋の景観とまわりのマンションや住居などについて話が及ぶ。景観を考えるということは、ただ単に高さだけの問題ではないことなど実際に歩いてみるとよく理解できる。だが暮らしと景観とは、なかなか両立しがたい部分もあり、難しい問題ではある。現在京都市は、紫明通りや堀川あたりの水路工事をしており、鴨川や疏水の町としてもう一度京の町並みを見直そうとしている様子の京都であってみればやはりこれは避けて通れない問題でもあろうか。

「伏見京橋」(『淀川両岸一覧』本学蔵)

「伏見京橋」(『淀川両岸一覧』本学蔵)

そんな話をあれこれとしながら、また江戸時代の京橋界隈の宿の繁昌ぶりを『淀川両岸一覧』などで参照しながら、宇治川派流の分岐地点で、高瀬川と濠川の合流地点のであい橋に到達する。この地点はわたしの大変好きな地点で、ここから旧の高瀬川を上流へと歩いたこともある。ここでしばし休憩をとり、また高瀬川の川筋のことについても少し説明をした。ただ、おりしも散歩中のご婦人が連れていた犬がたいそう可愛いいこともあって、つい話題はその犬のほうに持っていかれて、説明者としてはいささかさびしい思いもあった。ともあれその高瀬川の上流へ向いた地点で記念写真。

旧高瀬川に向いて

旧高瀬川に向いて

このあと、宇治川派流の左岸を戻り、文久2年(1862)の寺田屋騒動で有名な坂本龍馬定宿寺田屋へ。この界隈は、淀川上り舟を利用して大阪から京などへと向かうのお客が泊まった船宿がたくさん存在しており、この寺田屋もそのひとつであった。

「伏見舩宿」(『淀川両岸一覧』本学蔵)

「伏見舩宿」(『淀川両岸一覧』本学蔵)

こうしてずいぶんと歩いて疲れを感じ始めたわたしたち「卒業フィールドワーク」一行は、暮れなずむ宇治川派流川筋の景観に別れを告げて通称龍馬通りを大手筋に戻り、ゼミの2年間、そして学生諸君の4年間をしみじみと振り返りながらの宴を持つこととなったのであった。 (2008年4月22日 岡村記)。

 
 
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