京都ノートルダム女子大学 大学院人間文化専攻

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論文梗概
 

竹本美穂    「『枕草子』にみる平安時代の装束の美と醜」

 
 平安時代は、桓武天皇による平安京遷都から壇ノ浦の合戦で平氏が滅亡するまでの約400年間である。これを大きく3期に区分すると、我々が現在、平安時代を最も強く表しているという印象を抱いているのは、第2期であるといわれる。その理由としては、この時期に『源氏物語』や『枕草子』などの女流文学をはじめ、現在の文化にも強い影響を及ぼしている美的意識や感性が生み出されたと考えられているからである。
  本論では、描写されている装束の配色の詳細、その美醜とそれを抱いた理由は何であるのかを、平安時代を代表する女流文学作品のひとつで、清少納言が実際に見聞したことや感じたこと、考えたことを率直に綴っていると言われる『枕草子』を用いて考察してゆく。
  まず、第1章では平安時代に着用されていた装束を、男性の晴装束と褻装束、女性の晴装束と褻装束に分けて、それぞれ構成する服具や形状、素材や特長や文様について論じ、男性の場合は位階についても論じた。また男性、女性ともに晴装束と褻装束には複数の種類が存在するものがあるため、それらがどのような場面で用いられるのかについても述べた。
  第2章では、奈良・飛鳥時代から平安時代にかけての色目増加の歴史と平安時代の凶事の色と禁色について述べた。まず第1節で日本で色彩が服飾に用いられてきた歴史を振り返り、色目が増加してきた経緯とその背景にある出来事について述べ、第2節で特殊な色の区分である凶事の色と禁色についてそれぞれ言及した。
  第3章では『枕草子』に記載されている装束の描写と、それについて清少納言がどのような感想を抱いているかを男性・女性の別に本文から書き出してまとめ、同時にその装束に使われている色目とその配色について色彩学を用いて分類しまとめた。そして清少納言がなぜその感想を抱いたのかということを考察した。
  終章では第3章の考察を踏まえ、どの配色が多く用いられていたのか、その配色を用いたときに清少納言は良と悪どちらの感情を抱いているかを述べた。良と悪のどちらの感情も抱いている場合は、それぞれの配色が用いられている状況も含めてさらに考察した。その考察から清少納言が装束を描写し、それを批評する上で重要と考えていると思われるものは季節感とTPOの二つであるという結論に達した。
  この論文を執筆するに当たって用いた研究方法は、文献研究である。作品の引用には岩波書店の日本古典文学大系を用い、『延喜式』は国史大系、『大宝律令』は日本思想体系を使用した。先行研究については池田龜鑑、石村貞吉、江馬努の各氏の論文を参考にした。色について参考にしたものは石田順子、長崎盛輝、吉岡幸雄の各氏の文献である。
 
 
 
 
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