京都ノートルダム女子大学 大学院人間文化専攻

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論文梗概
 
   泉鏡花怪異小説論 -『高野聖』と『眉隠しの霊』を通して-
 
 明治・大正・昭和の三つの時代にわたって、六十六年間の生涯に三百篇以上の小説を書いた泉鏡花は、多くの幻想的作品を持つ、非常に魅力的な作家である。鏡花作品の八割以上を占める怪異談は、殆ど山中異界と水中異界の二つの幻想世界で構成されている。鏡花は自分の人生観と世界観を幻想文学の形で表したのである。しかし、鏡花の幻想文学は当時文壇の主流であった自然主義文学とは相容れなかったので、異端文学として、文壇の主流からは孤立していた。
  一方、約三十年前から現在まで、日本近代文学の研究界で、泉鏡花に関する研究論文は次々と発表され、泉鏡花ブームを呼んできた。鏡花作品にある日本の伝統的な美学は研究者に高く評判されたが、その思想的側面はあまり触れられていない。一部の研究者は泉鏡花を日本近代文学史上もっとも扱いにくい作家と見なしているからである。
  鏡花研究者は鏡花作品から西洋文学の影響を指摘してきた。しかしながら、筆者はいくつかの鏡花作品を読んで、鏡花作品には、中国古典文学とのつながりがあると感じた。筆者は泉鏡花が単なる幻想文学の作家ではなく、作品に当時の日本社会への批判を盛り込んでいた、と思っている。そこに泉鏡花文学の魅力もある。筆者は鏡花の『高野聖』と『眉隠しの霊』の二つの中篇小説を選び、山中異界と水中異界を描いた怪異談の分析を通して、鏡花作品に見られる思想的側面についての考察を試みた。
  日本幻想文学の巨匠である鏡花は、国境を越える作家になるべきである。筆者はこの研究を契機として、将来、泉鏡花の作品を中国の読者に翻訳・紹介したいのである。
 
 
 
 
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