京都ノートルダム女子大学 大学院人間文化専攻

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「文化学研究方法論」公開クラスの報告(クラス担当服部より)
 
 心理学研究科の薮内稔先生をお招きしての公開クラスが去る7月23日に開催されました。これまで「文化学研究方法論」では人間文化専攻の教員がゲストスピーカーとしてそれぞれの分野の「方法論」について話しておりましたが、異なる学問分野からのゲストスピーカーは薮内先生が最初で、大変貴重なクラスとなりました。
  「文化学研究方法論」では、人間文化専攻の視野に入る研究テーマが多彩であることを反映して、様々な切り口から「方法論」を考えておりますが、やはり一番重要なポイントは実証性をどのように方法論として確立するかという点です。
「文化学研究方法論」公開クラス
 学生諸君の多くの修士論文で扱われる言語テキストあるいは絵画作品を分析する際の方法論的立脚点については通常のクラスでも比較的長い時間を割いて検討していますが、今回の薮内先生の講義の焦点は数学における圏論(category theory)を立脚点として言語テキストを分析する「方法論」でした。いわばこれまでのクラス内容からは考えられない斬新な方法論的切り口を先生に語っていただいたことになります。
  薮内先生は今回このような分析を和歌を対象に展開されましたが、分析対象として具体的に選ばれたのは素性法師の次の一首です。
 
音にのみきくの白露夜はおきて
昼は思ひにあえず消ぬべし
 
 心に発する思い--→「私は恋焦がれる人に会えなくて夜は起き、昼は悲しくて消え入るごとく死んでしまいそうだ」が外界の自然---→「菊の白露」と対応しており、その同型性をアナロジーとして分析されました。そしてそのアナロジーの働きを数学における圏論を立脚点として捉え、観念の世界と自然の世界が単なる一方通行的対比ではなく、相互通行的な交渉として歌人の作歌のプロセスに現象しているのだと説明されました。掛詞あるいは縁語といういわゆる言葉の二義性を生みだすレトリックが、新しい方法論の導入によってその特性が改めて分析されたのでした。
  薮内先生が講義の冒頭で紹介されましたG.レイコフの言葉は「課題は古いが、解答は新しい」というものでしたが、その言葉が想定する学問の現場へ先生自ら、数学は決して難しくないという言葉を添えて、学生諸君を導いていただいたのではなかったかと思います。
(服部記)
 
 
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