京都ノートルダム女子大学 大学院人間文化専攻

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人間文化専攻 「文化の航跡」第2回研究会に関する報告

 

 2008年7月25日に本学のソフィア館4階ゼミ3教室で人間文化専攻が主催する「文化の航跡」第2回研究会が行われた。本学科の教員を初め、学部生、大学院生及び卒業生計15名ほどが参加された。

今回は朱鳳准教授が「幕末日本におけるモリソン「華英・英華字典」の伝播と利用」というテーマで発表した。そのおおよその内容について、次のように簡単に報告する。詳細については学会で正式発表後にレジメを公開する予定。

 

幕末日本におけるモリソン「華英・英華字典」の伝播と利用

 

モリソンの「華英・英華字典」が出版されてまもなく、長崎を通して日本に伝来したことはすでに多くの書物に記録されていた。その上、写本まで作られ、洋学者に重宝された。今回の発表はロバート・モリソン(Robert Morrison,1782-1834)の「華英・英華字典」(1815-1823)とその日本での写本の一つである町立高鍋図書館(宮崎県)に所蔵している写本『漢訳和蘭字典 五車韻府 単』(以下高鍋本と称す)の調査及び比較研究を通して、幕末における漢訳語の受け入れ状況について検討したものである。

高鍋本は単に「華英・英華字典」を写したものではなく、「英華字典」を漢訳オランダ字典に編集したものである。その内容は単にモリソンの「英華字典」の英語部分をオランダ語に置き換えたのではなく、見出し語に合わせて「英華字典」から適切な英漢対照用例を援用し、蘭漢対照の用例として編纂したものである。また、ただ機械的に「英華字典」から写すのではなく、より多くの訳語と用例を提示するために、「英華字典」を熟読研究し、他の類似語からも用例を援用している。さらに、高鍋本に収録されている用例は、「英華字典」のみならず、モリソンの他の書物も参考にしたことを今回の調査で明らかにした。

今回の調査を通して、モリソンの「華英・英華字典」は蘭学から英学への過渡期にさしかかった幕末日本にとっては重要な情報源と学習参考書であったことを明らかにした。さらに、「英華字典」は「漢訳和蘭字典」に替わり、江戸から地方の小さな藩校まで広がり利用されることになった。このような伝播と利用を通じて、「華英・英華字典」に収録されている多く西洋新概念を表現する漢訳語も多くの日本人洋学者の目に触れ、これらの言葉の日本での定着を促進する役割を果たしたと考えられる。

日本人がモリソンの「華英・英華字典」を抵抗無く受け入れることができたのは、やはり長い歴史の中に中国と日本が同じ文化(文字)世界に生きてきたからこそ可能であったではないかと考えられる。

 

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