京都ノートルダム女子大学 大学院人間文化専攻

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当日配布のレジュメ

 

第6回「文化の航跡」研究会「木版印刷と芸艸堂」(第一部 理論編)2010年5月21日 岡村

T 出版史における木版印刷の位置

1 出版史・印刷史概観
  (1)百万塔陀羅尼経から電子出版物へ → 「出版文化史(日本編)」参照
  (2)海外からの印刷技術導入
    ・紙 ・活字や整版 ・キリシタン版 ・朝鮮出兵 ・活版印刷 …

2 出版史のなかの木版印刷、とりわけ整版(版木による印刷)による出版文化
  (1)江戸時代の出版文化の位置を確認しておく。
  (2)漢学国学蘭学など学問、書誌作成技術の考案、読書層の広がり、実用書の刊行
  (3)近代への架橋、充分に醸成、文化の爛熟

U 木版印刷の実際−江戸時代

1 墨刷り一色
十返舎一九『的中地本問屋』を例に → 的中地本問屋』
  ・『あたりやしたじほん的中地本どいや問屋』…十返舎一九作・画 享和2年(1802)刊 村田屋治郎兵衛版
  ・「地本問屋」…錦絵や草双紙などの出版および販売の店 ← 書林、書肆、本屋
  ・あらすじ、草双紙出版のプロセスがわかる
  (1)版木(板木)のこと (2)彫師 (3)摺師(刷師) (4)丁合 (5)天地揃え
  (6)表紙掛け (7)綴じ 線装書 (8)売り捌き…振売り、店売り

2 多色刷り → 『木版画の技と美』
  (1)下絵 浮世絵師
  (2)色ごとに版木(色板)、彫師
  (3)摺師が印刷
  (4)丁合摺師が印刷
    ・淡色から濃色へ、小面積から大面積へ

V 江戸時代の本屋さん ← 現在の出版流通との違い

  (1)業態の未分化…江戸時代の本屋は、出版元でありまた小売書店でもあった
  (2)古本屋も扱っていた
  (3)貸本屋の役割…人びとの読書要求に応えた業種として重要である
  (4)後刷りのこと、刊記の出版年のこと
  (5)書物問屋と地本問屋、物の本と草双紙・浮世絵など
    ・書物問屋…医書や学問にかかる物の本を出版、本屋・書林とも。
    ・地本問屋…庶民の娯楽のための読草双紙や浮世絵など、草子屋、絵草子屋とも。
    ・仲間(組合)、行事(世話人)。同板や類版の防止、お咎めへの自主規制 → 鳥居清長の序文
      本屋仲間は享保6年(1721)、地本問屋仲間は寛政2年(1790)。
      蔦屋重三郎のこと
  (6)製版から活版へ、江戸から明治へ、近世から近代へ、
      → 大貫伸樹「明治の教科書造本分析 表1」、木版師と活版師(『風俗画報』)

W ようやく芸艸堂のこと

(主として『京都図案の伝統と冒険 芸艸堂』2009年11月 京都精華大学情報館 の佐藤敬二「明治期の工芸界」、山田俊幸「芸艸堂・京都図按の冒険」、早光照子「芸艸堂 メディアへの挑戦」などによる)
1 「日本唯一の手木版和装本出版社 芸艸堂」
2 創業から
明治24年 木版摺美術出版社として創業。初代山田直三郎 → 明治24年という時代のこと 明治24年 谷口香?(こうきょう)『光琳画譜』を芸艸堂から刊行

神坂雪佳(かみさかせっか)と津田青楓(つだせいこう)をNDLOPACから一部をみてみると
 
  • 別好京染都の面影 / 神坂吉隆. -- 田中治兵衛, 明23.2
  • 五二会新図案. 巻1-3 / 神阪吉隆. -- 五二会京都図案部, 明30
  • 衣かへ / 山田直三郎[他]. -- 山田芸艸堂, 明34.9
  • しきし模様 / 神阪吉隆. -- 田中治兵衛〔ほか〕, 明34.2
  • ちぐさ / 神坂雪佳. -- 山田芸艸堂, 明34.9
  • 海路 / 神坂雪佳. -- 山田芸艸堂, 明35.8
  • 滑稽図案 / 神坂雪佳. -- 山田芸艸堂, 明36.5
  • 蝶千種 / 神阪雪佳. -- 山田芸艸堂, 明37.5
  • 日本女装. 中篇(徳川時代) / 神坂雪佳. -- 山田芸艸堂, 明39.2
 
  • 花橘. 巻1 / 津田青楓. -- 本田雲錦堂, 明33.6
  • 華紋譜. 花,楓之巻 / 津田青楓. -- 本田雲錦堂, 明32,33
  • 青もみぢ / 津田青楓. -- 本田雲錦堂, 明32-34
  • 図案集. 第1-4,6,7巻 / 津田青楓. -- 本田雲錦堂, 明33-34
  • うづら衣. 巻1,3 / 津田青楓. -- 山田芸艸堂, 明36
  • ナツ草 / 津田青楓. -- 山田芸艸堂, 明37.9

神坂雪佳(1866〜1943)…京都栗田口に生まれる。本名は吉隆。四条派鈴木瑞彦また図案家岸光景に師事し意匠図案を学ぶ。明治34年グラスゴーの国際博覧会視察、世界各地の図案を見聞、当代の装飾芸術を再認識。

 

津田青楓(1880〜1978)…京都中京区押小路に生まれる。四条派升川友広に学び京都市立染織学校入学卒業後助手。浅井忠の関西美術院で洋画も。農商務省海外実業実習生として渡欧。東山霊山に津田洋画塾開設。

 

3 現在に引き継がれた手摺り木版印刷の技術と伝統
芸艸堂木版印刷の特質を早光照子「芸艸堂 メディアへの挑戦」によりまとめると
  @木版印刷が盛行した京の都という土地柄 A呉服商関係者による画譜や図案集の需要
  B写真製版技術がまだ発展途上であり木版印刷技術のレベルの高さ C小部数印刷が可能な木版による出版
4 芸艸堂の現在・芸艸堂という存在の意義

見本資料一覧
@往来物の板木1枚、刷り出したもの1枚 A引札(墨刷り)板木1枚、刷り出したもの1枚
B『しりうごと』3冊(古典籍) C熊野若王子神社境内図(木版印刷)1枚 D新聞錦絵2枚
E神坂雪佳の芸艸堂引札
大山崎山荘の加賀正太郎監修『蘭花譜』の画は池田光政瑞月、芸艸堂が窓口で、彫師大蔵永常半兵衛(東京)、摺師大岩雅泉堂、と序にあるそうだ。
2010/05/18 山荘にて

 
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