京都ノートルダム女子大学 大学院人間文化専攻

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平成23年5月26日「文化の航跡」研究会

 

長沼光彦著『中原中也の時代』に見る記号論

小山哲春
『中原中也の時代』は、抽象的で時には滑稽にも奇妙にも響く中原の詩の泉源としての詩人中原中也その人の歴史、文学観、思想の変遷、そして詩人特有の繊細な心の移ろいを浮き彫りにする。しかしこの著作は単なる中原中也の詩評、人物評に留まらない。中原よりも遥かに後の時代の、しかも西洋の思想を先取りしたかのような「中原中也の文学記号論」、さらに言えばそれを読み解いてみせる著者長光彦氏自身の「言語哲学」がこの著書の根底には力強く展開され、この著作に触れる者すべての言語観そのものを揺さぶり、記号すなわち「言語」の持つ力と脆さを改めて認識させ、そして、我々自身の中の「不確かでありながら確かな実感をもって存在する認識(コトバ)以前の世界」と「その認識以前の世界を記号(コトバ)に託してしまうことの虚しさと罪深さ」を否応もなく我々に突きつける。『中原中也の時代』は、詩人の、すなわち人間が根源的に持つ感傷と情念の記号論である。
 
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