京都ノートルダム女子大学 大学院人間文化専攻

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平成23年5月26日「文化の航跡」研究会

 

長沼光彦著『中原中也の時代』を読む

服部昭郎
今回読んだ若き畏友長沼光彦の『中原中也の時代』は、中原がダダイズム詩から出発し、象徴詩との出会いを経て『山羊の歌』に至るその詩的遍歴を跡付けようとする400頁にも及ぶ大著である。本書を読み進めるに従い読者には様々な文学的ないし思想的な背景の中で詩人中原の遍歴が鮮明な像として浮かび上がってくるのであるが、その一方で著者が中原の詩に対してひとつの揺るぎのない判断を一貫して持っていることも読み取れるのではないだろうか。その判断とは、長沼と詩人中原との<原関係>とでも言うべきもので、詩人中原を文学史の中に浮かび上がらせる研究者としての作業の中で言わば人間長沼を導くもうひとつの導線となっている。つまり本書の中で中原に対峙する長沼は、一方で文学や思想の歴史の背景から詩人中原の姿をとらえようとする視線と、他方で中原の内面にある変わらぬ心性の継続を読みとろうとする視線の言わば複眼の視線を持ち続けているのではないだろうか。
 
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