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報告 - 公開講演会を終えて

 

「比較古都論」(町のなりたち、人の往来) 平成18年10月7日・21日

 

 

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第一回 講演1「比較古都論に向けて」--基調講演--  教授 服部 昭郎

2006年10月7日(土) 13:30〜16:00

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 基調講演の目的は「比較古都論」が主題として目指すところ、あるいはその方法について考えてみることです。
 1980年代後半からいわゆる歴史都市のあり方をめぐって世界的な広がりで人々の関心が集まっていますが、要するにそれは集積された文化遺産を守りつつ一方で古都がいかに繁栄して未来に生きることができるのか、という議論です。それぞれ遺されたものを生きつつさらに豊かな都市として再生しようとしている世界各地の古都が共通して守ろうとしている文化遺産とはいったいどのようなものなのでしょうか。
  世界に遺されたいくつかの古都の歴史あるいは文化遺産についてはこれまでおびただしい数の研究がすでに行なわれています。例えばこれまで個々別々に行われて来た京都の文化活動あるいは歴史についての研究が京都学という名前で統合されつつあります。今回の「比較古都論」は、それぞれの古都をめぐって行なわれてきた研究成果を基盤として、各地の古都の独自の歴史や文化を再検証しつつ、さらにその相対化を通じて、古都そのものがいったいどのような文化遺産として世界に遺されているかを考えます。
  ひとつの事例研究として有名な文学作品「ヴェニスの商人」を取り上げます。古都ヴェニスに活動拠点をもっていたユダヤ人が、シェイクスピアが実際に創作活動を行った古都ロンドンにおける一群のユダヤ人の往来とどのような関わりがあったかを検証し、「ヴェニスの商人」をふたつの古都の「町のなりたち、人の往来」の中へ位置づける作業を行なってみました。物語の舞台となった古都のあり方が文学作品に色濃く反映することは言うまでもないことですが、文学作品も実は古都を作ることをこの事例研究を通じて考えてみました。「ヴェニスの商人」にはユダヤ人の足跡を中心として古都ヴェニスのみならず古都ロンドンが深く関わっているのですが、作品そのものも人々に読み継がれる間に彼らが抱く古都像に深く刻まれることになったのではないか。古都ヴェニスを訪れる人々にとってデユカーレ宮はシャイロックの裁判がおこなわれた場所となり、古都ロンドンを訪れる人々にとってギルドホールで1594年2月28日におこなわれたひとりのユダヤ人医師の裁判は不思議な「虚実の皮膜」の世界への入り口となるのです。古都に遺された文化遺産とは、古都を背景に生み出されるものであると同時に、それ自体が古都像を再生産する契機となるものではないでしょうか。
  講演の最後に、今後古都京都を「比較古都論」のなかでどのように位置づけるべきか について話者から問題提起いたしました。「比較古都論」の全体構想のなかで京都はその中心となるべきなのか、それとも様々な古都のひとつとしてあるべきなのか。今後予定されている話者と、我々のテーマに興味をもっていただいている聴衆の皆さんの共通課題として今後考えて行きたいと呼びかけました。
  当日聴衆として参加していただいた方々から幾つかのご意見をいただきました。なかでも「比較古都論」は文学の視点からだけではなくもっと広い視野から論ずべきではないか、というご意見がありました。講演会終了後のスタッフミーティングでも話題となり、確かに「比較古都論」の充実のためには「方法」についてのさらなる議論が必要であることを確認いたしました。  (2006/10/30服部昭郎)

 
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野田教授 小川教授 講演中の小川教授 講演中の服部教授
       
       
講演中の服部教授 講演中の服部教授    
 
 

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