京都ノートルダム女子大学人間文化学科

本学TOP人間文化学科TOP

人間文化学科

 

 

人間文化学科からのお知らせ

 
 

京都ノートルダム女子大学人間文化学科・人間文化専攻共催

報告 - 公開講演会を終えて

 

「比較古都論」(町のなりたち、人の往来) 平成18年10月7日・21日

 

 

>>>実施報告TOPへ

 

第二回 講演2「エジンバラの美しい村々」  教授 服部 昭郎

2006年10月21日(土) 13:30〜16:00

報告【1/2/3/4】 実施報告TOPへ
 

エジンバラの風景 エジンバラが長い歴史をへてもなお活気あふれるスコットランドの首都としてある姿には、いま世界のいくつもの古都が共通して模索する「古都の未来図」のひとつのモデル例をみる思いがします。エジンバラの「町のなりたち」の特色のひとつとして今回は町に遺されている幾つかの小さい集落(ヴィレッジ)についてお話をいたします。特に町の中心から南東に数マイルの場所に数百年もの間ひっそりとした佇まいで遺されているダディングストン・ヴィレッジをご紹介します。
 今回は私どものエジンバラでの案内人として特別の人を想定しております。それは「宝島」や「ジキルとハイド」などの作者として有名なR.L.スチーブンソンです。彼がエジンバラの出身である事、彼の一族が日本沿岸の灯台建設に様々な関わりがあった事もよく知られておりますが、自らの故郷について書きしるした「エジンバラ」という作品はあまり読まれることはないようです。
  スチーブンソンは、「遺された古いものだけがエジンバラの美観を作っているのではない」と言っています。エジンバラの特色は古いものと新しいものとの対照にある、と。そのひとつの例、オールド・タウンとニュー・タウンの対照はエジンバラの町のなりたちの歴史上最も有名なものでしょう。
  ダディングストン・ヴィレッジはスコットランドの政治の中心地として幾多の歴史的事件の現場となったホリルード宮殿からさほど離れていない場所にあります。いわば市街地の真ん中に数百年存在し続けているヴィレッジなのです。そのヴィレッジの中心は教会(スコットランドの言葉でカークと言われます)で、現在も実際に礼拝が継続して行なわれている教会としてはスコットランド最古のもののひとつです。そしてこれも少なくとも五百年近くは営業しているパブのシープ・ヘッドもある意味でこのビレッジの中心であります。 
おそらくこのヴィレッジが長年にわたって静かな佇まいのまま遺されている背景には、市街地にありながら町の人々の往来がアーサーの腰掛けと呼ばれる小高い丘によって遮られているからではないかと思われます。我々の案内人スチーブンソンが「大きさからすれば丘であるが、その威厳ある佇まいからすれば山と呼ぶにふさわしい」と書き残していることからもわかるように、市街地に忽然と隆起しているこの火山噴火口跡の存在がダディングストン・ヴィレッジの長い歴史を守ったのかもしれません。
  エジンバラの町中にはダディングストン・ヴィレッジのような小さい集落がその他いくつも存在しております。キャントという郷土史家によると、そのような集落の数は十を超えるようです。例えば町を流れるリース川沿いにあるディーン・ヴィレッジ、そしてスチーブンソンが幼少時代を過ごしてスワンストン・ヴィレッジなどです。
  このような村々が町中に点々として今なお美しい佇まいのまま遺されているエジンバラにスチーブンソンは対照の美しさを見出しているのでしょう。
  最後ですが、エジンバラの対照の美しさ、あるいは対照のダイナミズムの好例をひとつご紹介します。スコットランド教会、特に宗教改革期の歴史においてジョン・ノックスの存在がいかに大きかったかは言うに及ばないのですが、エジンバラのオールド・タウンの背骨とも言うべきハイ・ストリート(別名ロイヤル・マイル)のちょうど中央あたりに彼が一時住まったという建物が現在まで遺っております。ノックスは十六世紀の聖職者ですからその建物はすでに四、五百年そこに存在し続けていることになります。ただ、もしそれだけのことなら、スチーブンソンのいう対照を形成していませんし、数百年遺された歴史的建物は決して少なくありません。しかしこのノックスが使っていた建物の裏側、ちょうど背中合わせの形で、本年七月にスコットランド・ストーリーテリング・センター (Scottish Storytelling Center)が開設されました。建物内部はノックス・ハウスと繋がっており、どちらからでも入ったり出たりできる構造となっております。スコットランドの歴史上、激烈な信仰心を人々に訴え続けた宗教改革者の旧居の背後に、スコットランドの未来を生きる子どもたちのための施設を創設するという町の政策こそ、スチーブンソンのいう対照の最も新しい展開ではないでしょうか。
  講演終了後ご来場いただいた幾人かの方々からご助言や激励をいただきました。是非今後も「比較古都論」講演会を継続して開催してまいりたいと思います。また後日、聴衆としてご来場いただいておりましたおひと方からお手紙をいただき、エジンバラでのご自身の豊富な経験をお教えいただきました。

 
画像をクリックすると大きいサイズの画像がご覧になれます。
野田教授 小川教授 講演中の小川教授 講演中の服部教授
       
       
講演中の服部教授 講演中の服部教授    
 
 

報告【1/2/3/4】 実施報告TOPへ

 
 
 
  京都ノートルダム女子大学人間文化学科
〒606-0847 京都府京都市左京区下鴨南野々神町1番地
TEL 075-781-1173(代表)