京都ノートルダム女子大学人間文化学科

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人間文化学科

海外への研究訪問

朱鳳 准教授

海外での研究発表

朱鳳 准教授

「平成21年度科学研究費補助金」採択研究

継続研究

鷲見朗子 教授

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岡村敬二 教授

これまでの研究

岡村敬二 教授

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海外への研究訪問

 

鷲見朗子教授

 
2012年度 エジプト(アメリカン大学カイロ校)、フランス(国立科学研究センター、パリ)、アメリカ(インディアナ大学ブルーミントン校、ジョージタウン大学)にて研究活動に従事
 

(1)2012年11月の報告

 2012年度は大学の国外研修制度を利用して、海外で研究活動を行っています。2012年4月から6月まではエジプトのアメリカン大学・カイロ校で、7月から9月まではフランスはパリの国立科学研究センターで、それぞれ客員研究員をつとめました。9月末からは、アメリカ中西部のインディアナ州にあるインディアナ大学ブルーミントン校で客員研究員として研究生活を送っています。
 インディアナ大学は8つの分校を有し、そのなかでもっとも大きいのが、私のいるブルーミントン校です。州立大学で、学生数約4万2千人という大きな大学です。春には色鮮やかな花が咲き、秋には紅葉が赤や黄に色づく、とても美しいキャンパスです。


(写真: インディアナ大学キャンパス 冬の様子)

 私はこの大学の大学院近東言語文化研究科から2001年に学位を取得しており、母校である、慣れ親しんだキャンパスに帰ってこれて大変幸せに思っています。私が大学院生のときのクラスメイトはほぼ全員修了してキャンパスを去っているのですが、先生方の多くはまだ教鞭をとっていらっしゃるので、研究室にごあいさつに伺ったり、授業に参加させていただいたり、研究について相談にのっていただいたりしています。
 また、私がほぼ毎日通っているのが図書館です。7800万冊の蔵書があり、たいへん充実しています。キャンパスには、このメインとなる図書館以外にも15以上のより規模の小さな専門的な図書館があります。これらの図書館が所蔵していない本でも他大学の図書館から無料で借りられるので、助かっています。


(写真:2つの建物からなる大きなメイン図書館)

 キャンパスには大学が所有する学生寮やアパートも数多くあります。私も大学院生の頃はキャンパスにある2階建てのアパートに住んでいました。


(写真: 私が学生の頃住んでいたアパート)

実は今もそのアパートの近くに住んでいます。周りには林があって、シカやウサギを目にすることもあります。リスは芝の上を駆け回っていて、自然にも恵まれた環境です。このような2階建てのアパートだけでなく、高層で大きな建物の学生寮もあります。


(写真:学生寮)

 研究に関しては、現在は主にアラビアンナイト・コレクションのひとつとみなされている『百一夜物語』について行っています。実は12月のはじめに客員研究員として、インディアナ大学の中東研究センターで研究発表をするので、今はその準備に忙しくしています。「翻訳」について発表することになっており、2011年に私がアラビア語から訳して刊行した『百一夜物語―もうひとつのアラビアンナイト』(河出書房新社)の翻訳について話す予定です。
 いざ発表のために調べ出してみると、翻訳という分野はこれまでにさまざまな理論が構築されており(もちろん、これからもさらに発展していくのでしょうが)、大変奥深いものであると感じています。私はほとんど何の予備知識もなしに、翻訳作業を始めたので、いわば実践から入りました。こうして後から理論を多少勉強して自分が翻訳したものを見返してみると、自分のとった手法や選択肢が翻訳理論のなかで、どのような位置づけにあり、どんな読者を想定し、何を目指していたのかが、より明らかになったような気がします。もちろん作業に入る前、そして作業中にもこれらの意識は当然あったのですが、より明確になったという感じです。
 この作業を通じて私が感じたことは、翻訳にあたって必要な条件あるいは姿勢は、まず原語(私の場合、アラビア語)を十分理解できること。これは文法や語彙力などを含めた言語学的知識や能力を指しています。次に、起点(原語)テクストの文化的背景を把握し、その知見を深めようと努めることです。いくら、単語の意味、文の意味がわかっても、それが文化的コンテクスト(文脈・背景)に合っていなければ、良い翻訳とは言えないでしょう。文学テクストであるならば、歴史的、地理的な知識も大切になってきます。わからないことがあれば、調べます。図書や論文などの文献、そしてインターネットも強い味方です。ただし、インターネットは自分の求める情報がのっているサイトが信頼できるものかどうか確認しないといけません。
 最後の条件は、目標言語(私の場合、日本語)の能力、特に表現力です。ここからは、いわば自分が理解した起点テクストの内容を目標テクストに変換していく作業に入るわけです。正確な内容の提示はもちろんのこと、目標テクストにおける言語学的正しさ、わかりやすさ、読みやすさ、そして豊かな表現力が求められます。この表現力は文学テクストになると一段とその重みを増します。いうまでもなく起点テクストが持っている文学的・審美的価値や精神を、そっくりそのまま目標テクストにおきかえて伝えることは不可能なのですが、少なくともそれらを何とか伝達する努力が必要だと思います。

 もちろん、これらの条件を私の翻訳が満たしているわけでは決してないのですが、翻訳理論を学ぶなかで、より自覚が深まったという感じです。次に翻訳の機会がもしあれば、この経験をより生かせればと思っています。

 

(2)2013年2月の報告

 平成24年12月30日にアメリカ中西部にあるインディアナ州から東部に位置するここバージニア州に移ってきました。ジョージタウン大学の客員研究員として授業を聴講したり、調査をしたりしています。
 ジョージタウン大学は首都ワシントンDCにあるのですが、私の住んでいるバージニア州アーリントンからは地下鉄を使って、大学まで30分程度で行けます。私の住んでいるところの地下鉄最寄駅のすぐそばに、お店やアパートが立ち並ぶビルに囲まれた屋外の小さなスケートリンクがあります。休みの日になると子どもたちが楽しそうに滑っています。


(写真:屋外スケートリンク)

 ジョージタウン大学は京都ノートルダム女子大学と同じ私立のカトリック大学で、1789年に設立されたアメリカでもっとも歴史のあるイエズス会系の教育機関です。ポトマック川が見渡せる位置にそびえたつ、それはそれは壮麗で美しいキャンパスです。


(写真:ポトマック川にかかるキー・ブリッジから撮影したジョージタウン大学校舎)

 ジョージタウン大学では2つの科目を聴講しています。私のアメリカの恩師が教える「アラブ近代詩」の科目と「古典アラブ宮廷詩」の科目です。アメリカでは多くの科目が週に2回以上授業があります。1科目3単位の科目は平均して週に3時間の授業時間があてられます。私の聴講している2つの科目もそれぞれ月曜日に1時間半、水曜日に1時間半の授業があります。また、セミナーの科目は週に1回3時間というクラスもあります。ただし、語学の科目などは50分が毎日、週に5回です。ほとんどが1科目週に1回1時間半の授業で組まれている日本の大学のカリキュラムに比べると、アメリカの大学は、1学期間により少ない科目を登録し、一つの科目をじっくり深く学ぶように組まれているようです。
 授業の内容や課題について「アラブ近代詩」の科目を例にとって見てみましょう。この科目は15名ほどの学生が登録しており、学部生と大学院生が混じっています。3年以上のアラビア語科目をすでに単位取得した学生のみがとれる科目で、授業はほとんどアラビア語で行われています。教授もほとんどの学生もアメリカ人ですが、講義、討論はアラビア語です。この科目ではパレスチナやエジプト詩人の作品を扱い、それについての論文や図書(アラビア語と英語)を読んでいます。作品自体は、まず宿題として個々の学生が予習をしてきて、授業で教授とともに読みます。
 一方、論文や図書はすべて宿題として課されています。1つの詩につき、2つくらいの論文を読まないといけません。課されたものを読んでこないと議論に参加できないし、発言できないので、授業に出る意義がないようになっています。詩の暗唱も課題の一つになっており、皆の前でひとりずつ大きな声で朗誦します。成績評価は、1つの学期(約4か月)の間に短い(5ページ)3つのペーパー(日本でいうレポート)と学期末ペーパー(約15〜20ページ)によって付けられます。
 一般的にアメリカの学生はほんとうによく勉強します。予習・復習を常にしなければ、授業についていけないし、良い成績も維持できないからです。学費も日本に比べると高いので、その分勉学にも意欲的に取り組んでいるようです。親に頼らずに学生ローンを組んで自分で学費を負担している学生も多いです。教育は自分への投資と考えているのでしょうか。

 さて私の研究はというと、私も学生に負けじと真面目にやっていますが、うまく進む日もあれば、進まない日もあります。以前にも書いたかもしれませんが、アメリカは一般的に図書館がとても充実しています。オンラインで入手できる文献も多いので、資料入手という点では大変恵まれた環境にあると言えます。


(写真:ジョージタウン大学の図書館前から撮影したキャンパスの様子)

 私の国外研修もあと1か月余りで終わりを迎えます。最後にこちらで講演を控えています。インディアナ大学でも客員研究員として講演を1回行ったのですが、ジョージタウン大学でも3月の半ばに講演をします。テーマは同じ「百一夜物語」です。ジョージタウンでは物語のプロットやモチーフについて主に話す予定です。

 
 
   
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