学長挨拶

平成29年度入学式 式辞                                平成29年4月3日


 

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして、今日まで、お嬢様方を慈しみお育てになった、保護者の皆様にも、心からお祝いを申し上げます。

 ここに、学部生260名、大学院生11名の入学を許可いたします。

 もう二度と繰り返すことのない今日というこの美しい日に、京都ノートルダム女子大学にご入学になることは、新入生の皆さんにとって、特別な生涯への入り口に立たれたことを意味します。他のどの大学でもない、この京都ノートルダム女子大学の学生となったことは、この大学を作り上げてきた、シスター方をはじめとする教職員の方々の思いに支えられた四年間を過ごすことになるからです。

 私立大学には、それぞれ建学の精神というものがあります。本学の場合には、それは、日本語で「徳と知」と表わされるものです。ノートルダム小学校、中高で学ばれた方には、既におなじみのフレーズでしょうが、新たに大学生となって、再び、自分の生き方とのかかわりを是非考え直してみてください。

 一般的に、日本語の「徳」と言えば、「精神の修養によって得た優れた品性」、「知」と言えば、「哲学的、科学的な知識」などと言い換えて理解される言葉と言えるでしょう。しかし、自分自身の在り方に照らして考えると、特別な精神修養や哲学や科学的知識は、あまりに日常とかけ離れている、他人事のように響くと思われます。ある人は、「徳と知のある振る舞いをまねてみていつか身に着くことを夢見る」と歌いましたが、どうしたら到達できる目標なのか、途方に暮れる場合が多いことでしょう。そこで、学校法人ノートルダム女学院三校のメンバーによるノートルダム総合教育センターでは、2008年に、「ミッション・コミットメント---私たちの決意---」と題する小さな栞を発行しました。新入生の皆さんは、全員この栞を手にすることになります。

 そこには、この「徳と知」が、分かり易く、自分の在り方と比べることのできる、四つの動詞で示されています。それは、「尊ぶ」、「対話する」、「共感する」、「行動する」です。私たちの存在の初めは、何であれ、自から望んで始まったものではありません。しかし、物でも人でも、私たちは、随分粗末に扱って、尊ぶことなど思ったこともない場合が沢山ありますね。誰かに対してそんな態度でいれば、対話が生まれることは不可能です。その人の言葉に真面目に耳を傾けるなどあり得ないことになります。

 すべては、この第一の動詞「尊ぶ」から始まります。こちらの門衛さんは、とても丁寧にご挨拶くださいます。ちゃんとご挨拶を返しましょう。私は、英語を一クラスだけ担当しますので、学生の皆さんに出会う機会は、あまり多くないと思うのですが、キャンパス内で会うことがあれば、挨拶するつもりです。無視されると悲しいので、必ず挨拶を返してくださいね。

 「対話する」という二つ目の項目のところには、その説明として、「心をこめて聴き、かかわりから学び、真理を探究します。」と書かれています。ただ音という空気の振動が鼓膜を揺らすだけでなく、耳を傾けて、ちゃんと聴くことが、対話の始まりです。皆さんは、それぞれの学問分野で訓練を受け、真理探究の道を歩むことになるのですが、それには、きちんと聴き、疑問を自分の言葉で表現することが大事です。他人がどう思うかではなく、自分自身の考えを大切に、堂々と言葉にしていくことが出来るよう願っています。

 「共感する」という項目の説明で目を引くのは、「心を開き」と、「敏感な感性を持ちます」という言葉です。以前、私は、この大学の英語英文学科の教員でしたが、同僚のSr. Jean Schmitt のやっておられたインドの子供たちを助けるプログラムで、学生の皆さんとインドを訪問したことがありました。その帰りの飛行機の中で、日本の婦人たちの、「やっぱり、日本がいいわよねえ」という大声が聞こえてきたことがわすれられません。果たしてこの人たちは、インドの人々に心を開き、インド料理の味に対して敏感な感性を持っていたのだろうか、と感じたのを思い出します。昨今の世界情勢は、異文化に対する不寛容な態度が目立ちますが、「責任を持って人々の幸せと世界平和のために行動します。」と謳われている最後の項目「行動する」ことこそ、本学の教育の目的とするところなのです。

 以上、ミッション・コミットメントの四つの動詞について述べてきましたが、このような動作がおのずから出来るようになっていった方々、シスター方、先生方、職員の皆さんが、学生達一人一人を大切に育て、その人々が卒業時には、堂々と社会に貢献できる女性に成長して行った事実があります。私が、先に、この大学が特別な大学であると申し上げたのは、この様な理由によるのです。

 ミッションスクールの教頭をされていた私の友人が、一昨日、この京都ノートルダム女子大学の入学式に寄せてメールをくださいました。私は、その短い言葉に大変心打たれましたので、その方のエールをここにご紹介し、私の祝辞といたします。

 「入学式には希望があります。新入生の前途に祝福を祈ります。」

 改めて、ご入学おめでとうございました。

 平成29年4月3日
 京都ノートルダム女子大学
 学長 眞田 雅子

  • 建学の精神
  • 大学の沿革
  • 教育目標
  • 教育方針
  • WEB規定集(学内限定)
京都ノートルダム女子大学 〒606-0847 京都市左京区下鴨南野々神町1番地 TEL 075-781-1173 | プライバシーポリシー |