学長挨拶

「2019年度9月卒業式 式辞」学長挨拶                    2019年9月25日


 

 皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、今日までお嬢様方をお支え下った保護者の皆様にも、心からのお祝いを申し上げます。この良き日を迎えるまで、入学されてからの出来事を振り返ってみると、様々なことが思い出されることでしょう。

 多分、この聖堂で過ごす時間は、今が最後となると思われますが、ここで、皆さんちょっと心を静め、一分間沈黙してみてください。意識的に沈黙するということを経験した方も、初めての方もあるかと思いますが、私が「始め」と言ってから、「終わり」というまでの間、それぞれの心の声を聴いてみてください。(一分間沈黙)

 心の声は何を語りかけてきましたか? ほとんどの方が、一分間が長く感じられたと思います。皆さんがこれから社会に出てゆかれ、京都ノートルダム女子大学で高等教育を受けたという特別な存在として、平和を作り出す者となっていただきたいと思いますが、その為には、今体験された意識的沈黙の時を時々持たれることをお勧めします。

 先週、NHKのニュースで、興味深い女性の様子を目にしました。 イギリスの大学で学んでいたにもかかわらず、自分はパティシエになりたいと気付いた彼女は、日本のお菓子を作る会社の試験を受けました。お菓子を作った経験は一度もなく、様々な器具の使い方も全く知らないままに挑戦したのです。

 結果は、一番の成績での採用となりました。数人のグループで、一つのケーキを作る実地試験で、彼女は、解らないことを堂々と質問しました。そして、常に自分にできることを、全体を見回して判断、実行し、仲間の邪魔になるどころか、ケーキの作成に貢献したのでした。

 この小さなニュースから私たちが学べることが沢山あるように思いました。まず知らないことは、恥ずかしいと思わず、言葉にして尋ねる勇気です。皆さんも、大学生として、先生方や仲間に自分のわからないことを尋ねた機会は沢山あったでしょう。でも、恥ずかしさから、あえて質問せず、解らないままに過ごしたことも多々あったのではと思います。解からないことがあるのは、当然のことです。そこが、学びの入り口です。仲間や先生方を尊び、解らない自分自身を尊んで、言葉をかけるところから、対話が始まります。

 対話によって、ただ知識が増えるばかりではなく、時には、相手との間に互いの新発見があり、共感することによって、深い学びが進むこともありますね。

 本学のミッション・コミットメントの四つの動詞は、こうして私たちが生涯成長していく決意を表しています。どんな人でも、この決意を失わないなら、人との交わりの中で、自分の居る場を広い視野の中でとらえ、周囲の人々と共に、新しい社会を作ってゆくことになります。

 どうか、意識的な沈黙の時間を持ち、この京都ノートルダム女子大学に学んだからこそ身に着けることのできた四つの動詞の実現を目指して生涯を生きてゆかれますように。

 本日は、誠におめでとうございました。


 2019年9月25日
 京都ノートルダム女子大学
 学長 眞田 雅子

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