「インターネット講座」の初版は1999年に出版されました。その冒頭で、次 のように問いかけています。
「インターネットなんか知ってるよ。今さら、勉強することなんてない」と 思っている人は、その程度の差こそあれ、多いのではないでしょうか。
それから5年が過ぎ、インターネットはさらに普及し、その対象や利用範囲 を広げてきました。基礎知識や技法を学ぶより先に、学校や家庭へインターネッ ト利用環境がやってくるという状況は増加しています。それにつれ、本書が目 的とするネットワークリテラシーを習得する重要性も高まったといえます。
インターネットにおいて、電子メールとWebページはコミュニケーションの 中核です。この本では、その技術と作法を具体的に説明しています。従来から のコミュニケーション手段には、会話、電話、ファクシミリ、手紙などがあり ますが、これらによるコミュニケーションや情報交換のやり方、作法、ノウハ ウなどは、すでに子供の頃から家庭や学校であるいは仕事を通じて身につけて きました。同様に、インターネットによるコミュニケーションにおいても、学 ぶべき知識や技法があります。相手が求める情報を的確な形で伝えるには、そ の手段が異なろうと、多くの共通点があります。その一方で、インターネット は新しい手段であるが故に、別の知識や技法や姿勢が求められます。それを私 たちは「ネットワークリテラシー」と呼びました。このたび、発行以来、着実に刷数を重ねてきました「インターネット講座」 を「新・インターネット講座」という新しい書名の本として発行することと しました。初版発行から5年も経過しているにもかかわらず、利用者は減ること なく、大学の教科書としての採用も続いている状況から判断して、世の中がま すます必要としている内容の本であることを確信したからです。 新しい本では、ネットワークリテラシーの学習に関する中核部分は基本的に はそのままに、古い情報を改訂し、制作編にはスタイルシートの説明を大幅 に加えました。
本書は、インターネットで情報交換を始めたいと思う人から、すでにインター ネットが手放せない道具になっている人までが、基礎として知っておくとよい ことを説明しています。「使う」だけなら誰でもができる状況ではありますが、 基礎を知らずにいると、コミュニケーションにおいて残念なことや、恥ずかし いこや、恐ろしいことが起こることもあります。この本は、インターネットを使うためのハードウェアやソフトウェアの設定 方法や、操作方法の解説書ではありません。道具を揃えるのは簡単ですし、操 作を覚えるのもそう難しくありません。より重要なのは、それを活用する技術 や作法、知識を身につけることです。それを知ることは、インターネットを道 具として手に入れたあなたの使命でもあります。
そして、インターネットをおおいに勉強、研究、仕事に役立ててください。 インターネットを活用することで、あなたのパワーが今よりも、もっともっと 大きくなることでしょう。改訂版の発行にあたり、協力いただいた方々、編集に多大の努力を してくださった北大路書房の奥野浩之氏に感謝いたします。最後に、 「インターネット講座」が多くの大学や講習会で教科書として採用されてきたのを密かに喜んでいたに違いない著者の夫たちにも、この場を借りてお礼を言いたいと思います。
2005年1月
有賀妙子
吉田智子