心理実習:乙訓ポニーの学校での見学・体験実習
心理学科では、公認心理師を目指す4年次生がその第一歩として「心理実習」を履修しています。医療・教育・福祉・司法など、公認心理師が活躍している現場に出向き、見学実習を行っています。
今年度も順次、ブログでその内容を紹介していますが今回は7月・8月に実習にうかがった「乙訓ポニーの学校」様での実習です(過去の記事はこちら、以前のブログの記事はこちら)。
長岡京市にある乙訓ポニーの学校は、発達上の遅れやつまずきが心配されるお子さんを対象とした療育施設です。また、お子さんのみでなく、その親御さんのサポートも行われています。子どもをサポートするためには、その親御さんのサポートも必要、という視点。これは対人援助職の中ではだいぶ浸透してきた考えではあります。そして、心理職が特に必要とされる視点でもあります。
さて、療育施設にはじめて足を踏み入れることがほとんどの学生たち。彼女たちの目にはこの施設はどのように映るのか。
まずは小松施設長さまからのポニーの学校での療育の理念の説明や施設見学を受けます。メモを取りながら施設内の様々な特徴に触れていく学生たち。目的に合わせた部屋の構造化、感覚統合療法、など教科書で目にする専門用語も目の当たりにすることで理解が進んでいきます。時折ふっと話される支援の実際のお話の際には、否応なく真剣な表情となる学生たち。頼もしさも感じます。
その後は本学科の卒業生でもある支援員の長濱先生から“さぁ、実際にやってみよう”精神でサーキット作成の課題が出ます。実際の療育でも用いられるサーキットでは様々な大型遊具を用いてスタートからゴールまで、工夫を凝らしたコースを設定します。
コースの難易度はどうするか、達成感を得るにはどうしたらいいか、ゴール後のご褒美は何がいいか、そしてそもそも安全に怪我なく取り組んでもらうためにはどうしたらいいか。一見楽しそうですが、考えるほうは多くのことを想定して行わないといけません。
(実際に、リハーサルとして長濱先生が作成したサーキットを引率教員がリアルな子ども役をして全力で取り組んだとか、しないとか…)
緊張が解け、サーキットづくりを楽しむ学生たち。体は大人、心はこどものようなリラックスした時間が流れます。
大人になった私たち。久しぶりに触れる遊具に怖く感じるものがあったり、久しぶりの体の感覚に戸惑うことも多々ありました。懐かしい、という言葉もちらほら。
子ども役、支援者役に分かれ、実際に取り組みます。子ども役は子どもが実際に取り組むと何を感じるかを考え、支援者役はどう励ましながら“ともに”ゴールするか考えます。
療育の理念に触れ、施設に触れ、実際の支援に触れた学生たち。最後は支援者その人自身に触れます。
車座になりながら、本学卒業生でもある長濱先生に色々と質問をしていきます。どんな支援をされてきたか、今までのお仕事のなかで一番印象に残っていることは何か、心理職としてのやりがいや必要とされていることはなにか、というものから、多くの領域で働けるのにどうして児童福祉で働こうと思ったのか、など卒業生である長濱先生だからこそ聞けるような質問まで飛び交います。長濱先生も真剣に向き合って答えてくださり、時間が足りないほど多くのやり取りができました。
「“人って助けてくれるものなんだよ”ということを知ってほしい」と長濱先生。2年前のブログの記事でもピックアップした言葉がまっすぐにぶれることなく、今年度の学生たちにも受け継がれます。
ご多用のところ、毎年度快く未来の心理師の卵たちのために実習をお引き受けくださるポニーの学校のスタッフの皆様。
本当にありがとうございました。
次の実習先ではどのような体験をしていくのか。学生たちと“ともに”我々教員も実習を支えていきたいと思います。
報告:科目担当 武藤 翔太・中藤 信哉