タマサート大学(タイ)よりゲストスピーカーをお迎えしました
本学はタイの国立大学であるタマサート大学(Faculty of Learning Science and Education:学習科学教育学部)と学術および教育協力に関する協定を結んでいます。
今年2月には、本学からタマサート大学を訪問しましたが、10月10日にはタマサート大学よりゲストスピーカー(Dr.Adisorn Juntrasook)をお迎えしました。先生にはi-spaceにおけるランチタイムチャットでタイの文化や社会についてお話し頂き、心理学科の学生も含む、様々な学科の学生および院生が参加しました。

タマサート大学ランシットキャンパス

ランチタイムチャット“Experience the World of Thailand”

i-spaceは英語オンリーのスペースであるため質疑応答も英語です
またその後の「教育心理学概論」の授業では、タイで行われた5つの対象(高齢者・障がい者・移民・ホームレス・LGBTQ+)に対する偏見や差別の実態調査結果について説明して頂きました。

プレゼンは英語(と日本語の説明付き)で行われましたが、スライドは日本語に翻訳して下さいました
各対象への抵抗感について尋ねた結果では、「ホームレス」に対する得点が最も高く、「LGBTQ+」対する得点が最も低く、これは前週に受講生に行った調査結果と共通していました。一方、タイのデータでは世代間差が大きくみられること、対象ごとに異なる偏見や差別の実態があること、家族にその対象がいるかどうか、その対象との関りの有無等によっても結果に差異があること等が説明されました。
講義の後には、学生から出された複数の質問にも答えて頂きました。事前に学生に対して「日本にはどのような差別があるか」を尋ねていましたが、最も多かったのがジェンダーによる差別でした(主に女性に対する差別)。このため、「タイでは女性差別があるか?」の他、「ホームレスに対してタイの政府はどのような対応をとっているのか?」「なぜタイは“微笑みの国”と言われているのか」「タイの小中学校においても“いじめ”はあるか?」等の質問が出され、また授業後にも先生に対して直接質問に来る学生もいました。
当日はタイのチュラロンコン大学からの交換留学生であるMさんや国際教育センター長のハーダー教授も参加して下さり、英語、タイ語、日本語と様々な言語が飛び交う楽しい授業になりました。学生の振り返りよりいくつか紹介します。
タイは「微笑みの国」と呼ばれているため、差別や偏見はほとんど無いイメージでした。しかし、ホームレスの人や性的少数者の人に対する偏見や差別は未だに残っていることを知りとても驚きました。また、様々な少数者の人々に対する、「家を借りる時などに貸したいか貸したくないか」という調査項目の尋ね方がとても印象的でした。
タイのLGBTQなど性別に関する問題が日本よりずっと寛容に受け止められていることに驚きました。まだまだ差別的な思想は残っているということでしたが、日本でもタイのように寛容に考えて、様々な人が生きやすい世の中にしていきたいなと思いました。
当事者に知り合いがいると偏見は少なくことはあるが、必ずしもそうではなく当事者との関係が近いからからこそ、偏見が多くなる場合もあると知ることができた。また、若い世代ほどSNSがあることで当事者への偏見が少なくなることがあると知ることができた。
タイのジェンダーギャップ指数は2025年度66位と日本の118位を大きく上回っており、学生はその状況にも驚きがあったようです。諸外国との共通点や相違点に目を向けることで、日本社会が抱える課題や可能性を改めて考えるきっかけになっていればと願っています。
貴重な授業をして頂いたAdisorn先生、ありがとうございました!

最後に皆で「ขอบคุณค่ะ(コープクンカー:タイ語で、ありがとうございます)」と挨拶をしました
報告者:松島るみ