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日本心理学会に参加・発表しました(教員の夏休みvol.1)&学会で嬉しかったこと!

2024-09-17
研究

 9月6日~9月8日に開催された,日本心理学会第88回大会に参加・発表しました。今回心理学科からは向山先生と松島先生が参加しましたが,それぞれ学会発表の様子と学会での嬉しかったことを紹介します。

 まずは、向山先生からのご報告です。

 なお、本学会で本学大学院修了生が発表を行った様子は別の記事でご報告します。

会場は市内中心部にある熊本城ホールでした

  

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1.発表について

 私たちは日頃,様々な場面で人の性格(パーソナリティ)について話をしていますが,そこではしばしば擬態語を使っています。例えば,「〇〇ちゃんは,ほんわかした人だね・・・」とか「△△さんは,さっぱりした性格だ!」等々。日本語はオノマトペ(擬音語や擬態語)が多い言語と言われていますが,性格の表現にも擬態語がたくさん使われています。そのことが面白く,他大学の先生達と共同で「擬態語による性格表現や性格認知」について研究を続けています。今回の学会発表もその一つです。

 今回の発表では,著名人――ほとんどの人は実際にやり取りをすることはないけれど,メディア等で頻繁に言動や行動の一端に接触している他者――の「性格」がどのように評定され,それが著名人への認知度や好感度とどのように関連するかを調べました。例えば,世論調査で首相の「人柄」が支持・不支持の理由の選択肢となっているように,私たちは直接に交流がない人物でも,その人の性格を読み取っており,それが人物の評価(好き嫌いなど)とも結びついていると考えられ,そのことに興味を持ったのが本研究の発端です。

 発表のテーマは,「著名人をよく知ることはその性格評定を多様化させる」でした。著名人としてタレントのタモリさんと和田アキ子さんを対象に,認知度(顔を思い浮かべることができるか・いろいろなことを知っているか)と擬態語による性格評定との関連を調べました。結果を分析すると,下図のようなことが分かりました。

 つまり,「顔を思い浮かべることができる」という比較的表層的な情報や知識にもとづく著名人の性格像は,いわゆるパブリックイメージとして共有された性格像と重なるのに対し,「いろいろなことを知っている」といった多様な情報や知識にもとづく著名人の性格像は,パブリックイメージとは必ずしも一致しない多様なものとなる,と考えられます。

  

 今年は国内外で選挙が予定されており,様々なメディアを通じて人物や政党への支持率などの情報が流れていますね。さて,皆さんはメディアに頻出する政治家,あるいはタレント,スポーツ選手などの著名人について,「顔を想い浮かべることができる?」「いろいろなことを知っている?」と尋ねられたら,どう回答しますか?また,その著名人はどのような性格だと考えますか・・・?

  

2.学会で嬉しかったこと

 学会に参加する楽しみは,次回の松島先生の報告にあるとおり,ふだん出会うことができない人達と共に時間を過ごし,直接に出会って話ができることでしょう。今回の学会でも,研究について建設的なご意見を下さる先生方や学会デビューの院生さん達などなど,様々な人と豊かな交流の時間を持つことができました。

 それ以外に,学会開催地の駅に着いて通りを歩き,その街の雰囲気やそこで暮らす人達の様子を見聞きし,土地の名物の匂いや味わいを楽しむことも,学会に参加する楽しいこと嬉しいことの一つです。まさに五感をフルに働かせて参加する・・・今回の学会もそのような機会になりました!

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報告:向山泰代、心理学科広報担当