身近な問題から考える
私が小学生の頃は、家の近くのあちらこちらで田園風景が見受けられました。ゴールデンウィーク明け辺りから始まる田植え、そして10月頃までの稲刈り、収穫祭、五穀豊穣を祝う地域のお祭りなど、米作りは年間を通して地域生活と密接に関わっていました。
幼少のころは祖父や祖母から、お米の大切さや戦争中での食糧難などの話を耳にすることが多くありました。ですから今でもご飯を口にするときは、「お米」に対する農家の方たちのおもいや有難味を感じつつ食しています。
当時は、近くの小川や用水路にドジョウやザリガニ、メダカが泳ぎ回り、夜になるとカエルの鳴き声が合唱のように聞こえてきました。また、夏の桂川の堤防には蛍が飛び交っており、大文字五山送り火や宇治川の花火大会の様子を浴衣着で見ていました。あちらこちらで町内の方同士の井戸端会議も行われていました。
現在は、区画整理が進み、ほとんどの田畑は無くなり、以前のような光景を目にすることも無くなりました。また、多くの田畑は、工場や倉庫、住宅地に変貌してきました。
さて、近頃ニュースで「米不足」や「米高騰」が連日報道されるようになり、主食である「お米」が注目を浴びています。私の住む地元でも田んぼが無くなっていますが、全国的に見ても耕作面積が減ったり、農業を継ぐ人材が減ったり高齢化や農作放置地が増えているという大きな課題があります。
このような現状の中、例えば小学校5年生の社会科では農業や漁業など一次産業の重要性についての学習が取り上げられています。また、学校では知育及び徳育の基礎となる「食育」の授業も進められています。先の読めない社会の中で、前述した様々な課題に対して、真剣に向き合い、こども達と一緒に考え、共によりよく生きる力を育むことが、教育者としての重要な使命だと考えます。

区画整理事業が進む中での田園風景
担当:河佐 英俊