「認知症サポーター養成講座」の開催と「とらい・あんぐる」様への訪問―共生プロジェクト実践報告―
学際教育科目「共生プロジェクト実践」では、地域社会における多様な人との共生社会について考える取り組みを行っています。本学では、「認知症にやさしいまちづくり」を目指し、2016年度から京都市左京北地域包括支援センターとの共催による「認知症サポーター養成講座」を継続して開催してきました。途中、コロナ禍による中断もありましたが、昨年度より「共生プロジェクト実践」の一環として再開し、今年度も7月14日(火)に京都市左京北地域包括支援センターとの共催により、講座が開催されました(本学の公式サイトもご覧ください⇒こちら)
当日は、「公益社団法人 認知症の人と家族の会」京都府支部の小笹佳会子様がご自身の長きにわたる介護経験をお話し下さり、認知症の高齢者の方にどのように寄り添うと良いのか、そしてご自身の経験から、介護をする人がどのような心持ちでいると良いのか、大変参考になるお話しを頂きました。

講演の様子
地域の皆様や普段高齢者の方に携わっておられる職員の皆様等もご来場下さり、講演後のグループワークでは、学生とともに認知症の方をどのように地域で見守っていくと良いのか、今後自分達が出来ること、やっていきたいことを多世代でディスカッションし、貴重な学びの時間を持つことができました。

ディスカッションの様子
【学生の感想より】
学生からは、「私たちにできることは、数少ないかもしれないが、街中で様子がおかしい高齢者を見つけたら、声をかけたり、周りの人や警察に助けを求めたりすることが必要だと感じた」、「私たちは人と関わる時、まずは相手を知り、理解することを無意識に行っている。介護されている人、認知症の人も同様で、理解しようとすることで相手は何を求めているのか、関わり方を変えるべきなのか、試行錯誤でもいいから行動する必要があると考えた。そのため、これからは私にとって何ができるのかを日頃から考えていきたいと思った」、「もし認知症の介護者になった際、他者に頼る事、認知症患者の気持ちに沿い、同調する事がより良い介護とするために重要であると学んだ」といった感想が寄せられ、それぞれの学生が「自分たちに出来ることは何か」を考えてくれた様子がうかがえました。
一方、地域には、認知症の有無にかかわらず、様々な高齢者の方が暮らしておられます。実際に地域で暮らしておられる高齢者の方々と関わり、地域の中でどのようなつながりや見守りが行われているのかを知ることも大切です。そこで、地域の中で高齢者の方々とどのようにつながり、共に暮らしていくことができるのかを学ぶ機会として、本学現代人間学部生活環境学科三好明夫教授が主催されている、特定非営利活動法人「とらい・あんぐる」様を訪問しました(HPはこちら)。
とらい・あんぐる様は、地域の高齢者や、認知症の方、障がいのあるお子さんまで様々な人が集い、「まるで家のようにくつろげる場所」を目指しておられます。当日は、本学の三好教授および理事の石田栄子様より事業所の趣旨や活動内容についてご説明を頂いた後、3名の地域の高齢者の方と学生が交流をさせて頂きました。自宅にいるようなとてもほっこりする環境の中、学生もとてもリラックスをしてお話しさせて頂き、高齢者の皆様からパワーと自信を吹き込んで頂いたようです。学生達のいつもとはまた違う生き生きした表情が見られ、人生の大先輩の力はとても大きいのだなと感じました。若者と高齢者というと、若者の方が高齢者をサポートするイメージもあるかもしれませんが、とらい・あんぐる様では、立場や年齢を超えて対等に話をし、お互いに支え合って幸せになろうという温かい雰囲気を感じました。

特定非営利活動法人とらい・あんぐる様

とらい・あんぐるを利用されている皆さんと学生で交流
【学生の感想より】
2名の学生にとらい・あんぐる様訪問の感想を聞きました。
<Aさん>
今回とらい・あんぐるさんに伺う前は、すでに強いコミュニティができていて、少し入りにくいのではないかと想像していました。確かにそこには強いつながりがあると感じましたが、その強いコミュニティの中に、様々な立場の人を温かく受け止め、見守る姿勢があることに気づかされました。
地域の方とのコミュニティは様々な場所であると思いますが、全世代を応援するというのは、継続させることも実現することも簡単なことではありません。「支援や応援の対象を絞ること」がお互いにとって良いと思っていた自分の考えが大きく変わったのがとらい・あんぐるさんへの訪問でした。
私自身、こども食堂でボランティアをしており、活動を続ける中で、支援する側と利用する側が互いに影響を受けるものだと感じています。そしてそれはお互いに対等な立場だからこそだと思っています。ボランティアを始めてから様々な方と関わる機会や視野が広がり、自分自身の成長を感じています。とらい・あんぐるさんのように幅広い世代との関わりを大切にする場では、自分にはないものの見方を学んだり、逆に自分が伝えたりする機会も生まれ、それがお互いの成長につながるのだと感じました。またぜひ訪問したいと思います。
<Bさん>
実際に訪問して、運営をされていた代表者の方の、元気いっぱいで温かく、パワフルなお人柄が印象に残り、元気をもらいました。笑顔で何でも受け入れて下さりそうな姿が、とらい・あんぐるさんに行きたくなる理由の一つだと思いました。
当日は、とらい・あんぐるさんの取り組みやイベントの魅力、地域の先輩からお聞きしました。年齢が異なる者同士だからこそ、物の見方や違いをお互いに説明し合ったことがとても興味深い経験で、女子会のような雰囲気で楽しめました!
これらの学びは、今後、学生達が地域の高齢者の方々と、本学のミッションコミットメントでもある「尊ぶ・対話する・共感する・行動する」を実践する上での一歩となったのではと思っています。
ご協力くださいました、京都市左京北地域包括支援センターの皆様、特定非営利活動法人とらい・あんぐるの皆様には心より感謝申し上げます。
報告者:松島るみ(心理学科:授業統括)・矢島雅子(生活環境学科)・
伊藤一美(心理学科)