学長挨拶

令和4年度 前期卒業式 式辞                             2022年9月22日


 

 皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 ご家族の皆様にも心より御慶び申し上げます。

 今年度もコロナ禍中の前期卒業式となりました。あいかわらずマスクをつけ、人との距離をとって卒業のお祝いをしなければなりませんが、それでも、理不尽な戦闘に怯える人たちのことを思うと、卒業式を執り行えることを、幸せに思わねばならないのかもしれません。

 世界を見渡すと、新型コロナウィルスの災厄はくすぶり続け、世界各地で地球環境問題を起因とした気候変動による激甚災害は、思わぬ被害をもたらし、そのうえにロシアの侵攻によるウクライナでの戦闘は、いっこうに治まる気配を見せません。ITの発達とグローバル化の進展により、それらがリアルタイムでニュース映像に映し出され、いやでも私たちが目にする日々が続きます。少し前まで防護服を着た関係者が消毒作業をする以外、人の姿が消えてなくなった都市封鎖の模様が報じられていました。あるいは熱波や山火事、干ばつや大洪水などの大規模な被害状況に立ちすくむ人々の姿が、さらには激しい戦闘の模様や凄惨な被害状況が、モニター画面から映し出されます。

 それらをみていると、私たちは今、世界の大変革期を迎えていることを痛感します。ただしこれらの問題は、いずれも人間の欲望や傲慢さがもたらした災厄や不幸、難題です。変わらねばならないのは、私たちの行動の仕方であるといえるでしょう。私たちは、生き方、考え方を変えねばならない臨界点に立っていることを、自覚せねばなりません。

 皆さんは大学生活の後半部分をコロナ禍で過ごしました。卒業研究や就活に制約を受けて苦労され、ここしばらくは自分の卒業や進路など、自分のことで精一杯であっただろうと推察します。ただ、本日をもって学生生活に区切りをつけ、社会に出て行かれる限りは、グローバルな情報化時代に生きる者として、社会の状況や世界の動向への感受性を高めて、問題の本質や解決の方向を、自分自身で考える人であってほしいと思います。

 「人が変われば世界が変わる」ノートルダム教育修道女会を築いたマザーテレジア・ゲルハルディンガーが、自身の恩師から受け継いだことばを、改めて皆さんに
贈ります。自分に何ができるか、いかに行動すべきか、真摯に問い続けてください。その自問自答の繰り返しにより成長していく皆さんたちによって、世界が変わることを願わずにはおられません。そのように生きる皆さんの人生が、充実したものになりますように、お祈りしています。


2022年9月22日
京都ノートルダム女子大学
学長 中村 久美


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