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リンゴ染色布は美しく,抗菌性とUVカット性をもつ優れもの
2026-01-05
研究
昔は植物などの天然色素を用いて布を染色していました。現代では実用的な布の染色はほぼすべて化学染料に替わりましたが,我々は草木染を見直してみました。それも食品廃棄物を使えば一石二鳥ですよね。
ふじリンゴ(図1)の果皮を染色材料,6種類の金属を媒染剤として綿布を媒染染色したところ,様々な美しい色の染色布が得られました(図2)。媒染剤は色素と繊維を強固に結びつける役目をしますが,もう一つ,同じ色素でも用いる金属により異なる色を呈するという性質を持っています。


さらに,リンゴ染色布は素晴らしい機能を持つことがわかりました。図3は染色液濃度をいろいろ変えて無媒染染色した布の抗菌性を示しています。縦軸の静菌活性値が2以上で「抗菌性がある」と判断されます。綿布(○)も絹布(●)も濃度ゼロ,すなわち染色前は抗菌性を持ちませんが,染色により抗菌性を持つようになることがわかります。
また,図4は種々の綿布の光の透過率を示しています。波長400 nm以下の紫外領域で透過率が低いほどUVカット性が大きいと言えます。染色前の布はUVカット性が大きくありませんが,無媒染,アルミニウム(Al3+)およびチタン(Ti4+)媒染で染色すると,いずれもUVカット性が向上することがわかりました。特に,Ti4+媒染では効果が高かったです。


植物色素は元々植物自身を守るために,抗菌性やUVカット性を含有すると言われています。それらの性質が染色と共に布へ移り,美しさと高い付加価値を併せ持つ染色布が得られたと考えられます。