心理学科
「病児の発達と支援」(集中授業)報告
今年度も2月8日~2月14日に集中授業が行われました。遅くなりましたが、その一部をご報告したいと思います。
本科目は、現代人間学部「学科横断プロジェクト型科目」で3学科の学生が履修可能です。講師陣は、学内教員や京都府立医科大学附属病院の医師・看護師、桃陽総合支援学校の先生(病院内分教室)、京都YMCAスタッフで、各所の専門家から直接講義を受ける構成で、学際的に闘病中の子どもの支援について学びます。今年度も3学科から23名が受講し、心理学科 からは13名が参加しました。
「子どもの発達と遊び」を学ぶ授業回では、病児の心理や遊びの発達、絵本に関する講義、それを踏まえた具体的な遊びを考える演習を行いました。
今回の演習では、絵本文学の講義でも触れた『キャベツくん』(※1)を題材に、お話の一場面をペープサートにして演じる課題に取り組みました。一般的には、活動内容や対象年齢などにより絵本の選書を行いますが、闘病中の子どもたちが、お話の世界に入り込んで、「楽しい」「面白い」「笑える」・・・など、ユーモアもあってシンプルに楽しめる素材であることもポイントです。
制作にあたり、「キャベツ」を別の野菜に置き換え(受講生の投票により「トマトちゃん」とし)、動物もオリジナルで変化させることが課題でした。また、音楽教育担当の先生からは音の演出についても学び、5グループそれぞれのユーモラスな「ひとコマ」の制作を実践。
トマトになった猫を膨らんだ赤い風船で表現したり、羊がトマト顔に変身し、やぎの口がウインナーになり・・・と作っていくうちに、学生自身も面白くなってきて、ユニークなお話を展開。木琴やキーボードなどで効果音をつけるグループもあり、短時間で面白いペープサートができました。
ネコがトマトに
ユニコーンのしっぽが?!
クマのしっぽも!
ハムスターのほっぺたがトマトに!
やぎの口が・・・
受講生の感想の中には、「遊びは子どもが病気のことを忘れて楽しむ時間で、その影響は大きいことが分かった」「どうやったら子どもに喜んでもらえるのかを考えるのは、楽しかった」「初めてグループを組んだ人との協同作業だったが、楽しく作業ができた」「グループごとにそれぞれ良さがあって楽しい発表会だった」といったものがありました。学生同士も「遊び」を通して、楽しみを実感し、新たな発見の機会になったのではないでしょうか。
病気の子どもたちのケアについて本課の学びを終えた学生は、次年度の実践講座に参加することができます。そこで入院中の子どもたちと新たに出会い、楽しい時間を一緒に作っていくことができるよう、今から期待をしているところです(今年度の実践講座の報告はこちら)。
※1 参考文献:長新太 1980 キャベツくん 文研出版
報告者:薦田未央・伊藤一美(心理学科担当教員)