こども教育学科
おばさんが歌えない歌
2024-07-31
学科のまなび
初めに断っておきますが、タイトルの「おばさん」とは音楽教員の私のことです。私は、ポピュラーミュージックを自ら進んで聴くことが殆どありません。音楽は自分が演奏するか、「没入」したいときにしか聴かず、それ以外は静かに過ごしたいのです。もちろん音楽は大好きです。
1990年代終わり頃の「90年代おじさんの歌えない若者の歌」という論文があります。かなり端折りますが、音楽の拍と歌詞の持つ拍節が一致した「伝統的な作曲手法」は、J-popでは覆されているので、中高年世代にとっては、流行りの歌は迷いが生じて原曲通りに歌えない、という内容です。実にその通りです。
J-popが受け入れられる大きな要因は歌詞の内容よりもサウンドである、と言われているぐらい、「雰囲気」重視の音楽です。歌詞の発音も二の次です。先の論文の譜例の曲は、当時まだ「おばさん予備軍」だった私にはついていける曲ばかりですが、令和の時代になるともう、歌詞は所々しか聞き取れません。ゼミでも学生に不思議がられています。音楽をじっくり聴く、という意味が解らない若者が多いようですが、「雰囲気」重視の音楽を四六時中BGMで聞いているワケですから、仕方ないのかもしれません。
J-popではないですが、1960~80年代にNHKで放送された『新日本紀行』という番組がありました。冨田勲が作曲した後期のオープニング曲は秀逸ですよ。若い皆さんにどこまで「刺さる」かわかりませんが、番組名にぴったりの郷愁を誘う曲です。ぜひYouTubeで聴いてみ下さい。

担当:古庵晶子