こども教育学科

わたしの家の庭のはなし

2023-06-27
学科のまなび

これは、わたしの家の庭の写真です。多くの一戸建ての家では、外構工事がほどこされ、コンクリートで固められたり石やタイルが敷き詰められたりしていることがほとんどだろうと思います。わたしは、家を建てる時に、あえて外構工事をしないで、地面のままにしておくことにしました。

すると、いつしかどこからともなく種が飛んできて、いろんな草が生えるようになりました。草が生えて花が咲くようになると、チョウやトンボ、バッタやコオロギ、スズメやハクセキレイがやってくるようになりました。わたしは、このときを待っていたのです。今では、四季をつうじて「小さな来訪者」が絶えません。

 「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」の領域「環境」の内容には、「身近な動植物に親しみをもって接し、生命の尊さに気付き、いたわったり、大切にしたりする」と記されています。保育所や幼稚園では、こどもたちが身近な動植物にかかわって心を動かされる体験を得られるようにつとめています。わたしは、大学で保育士や幼稚園教諭をめざしている人たちを育てていますが、まずはわたし自身が身近な動植物とともに暮らし、さまざまな気付きを得る日常を大切にしたいと思っています。

 雨降りには水分を帯びた草で靴が濡れますし、成長しすぎた草を時々刈り取らなくてはなりません。けっしていいことばかりではありませんが、わたしはこの庭を気に入っています。わたしの息子は、小さなとき、ここで毎日バッタやトンボを追いかけまわしていました。娘は、シロツメクサで花輪を編んだり飼っているカメを散歩させたりしていました。ふたりともすでに大きくなりましたが、ふたりの命あるものへのまなざしは、この庭が培ってくれたのだろうと思います。  わが家には、この庭と道路を仕切る塀や柵もありません。先日も、家の前を通る親子が、ここで四つ葉のクローバーを探しておられました。ここは、地域の身近な人との出会いの場所でもあるのです。

田中 裕喜

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