社会情報学環

授業「社会情報概論」の紹介

2023-06-10
学科のまなび

6月に入り、梅雨のシーズンになりました。4月は、まだ初々しかった新入生もすっかり大学生活を謳歌しています。

さて、社会情報課程の1年生は、前期に「社会情報概論」の授業で、情報に関係する様々な分野について、専門の先生がオムニバスで授業をし、情報xOO の学問の基礎を学びます。

例えば、図書館情報学、生活経営学、教育心理学、青年心理学、生涯発達心理学、、、もちろん、直接的な情報科学やインターネット社会論の講義もあります。

「社会情報概論」の授業の様子

ここで、授業の1つを紹介しましょう。

生涯発達心理学の授業では、「高齢者の心理と情報 」というタイトルで、高齢者に寄り添う社会を作るためには

  1. 情報技術にどんな課題があるだろうか?
  2. 情報技術をどのように役立てるべきか?

というテーマについて掘り下げました。

具体的には、
まず、「1人暮らしの高齢者がなぜ健康食品の無駄買いをしたのだろうか?」「なぜ注意されると逆ギレしたのだろうか?」「無駄な買い物をしないようにするために若者はどうするべきか?」という身近にある問いに対して、学生自らが高齢者の心理状態を推測し、意見交換が行われました。

  • 1人暮らしの高齢者がなぜ健康食品の無駄買いをしたのだろうか?
    • 買い物で寂しさを埋めている。
    • いっぱいある方が安心する。
    • 家にいることが増えて、テレビなどでそういった情報に触れる機会が多くなったから。
  • なぜ注意されると逆ギレしたのだろうか?
    • 自分の子供に諭されたことで、プライドが傷ついたから。
    • ダメだとわかっているのにやってしまって自分でも反省していたから。
    • これまで人の手を借りずに仕事や家事をしていたため、人に頼らず自分でものの購入をしたいと思っているから。
  • 無駄な買い物をしないようにするために若者はどうするべきか?
    • 買っているものの傾向をみたり直接聞いたりして、祖母の悩みを見つけ、それにあったものを信頼出来るところで買う。
    • 定期的に家に行く。 趣味を作ってもらう。
    • 一緒に選んであげたいから、欲しいものあれば相談してよと言う

等、たくさんの意見が出されました。(皆さん、高齢者の心理をよくわかっています。)

「社会情報概論」で高齢者とICTを学ぶ

そして、後半は、
先生が、学生の回答と関連付けるやり方で、高齢者の心理状態や認知能力を科学的に説明しました。そして、最後に、情報技術が高齢者に与える問題点や、逆に、情報技術が解決できることの実例などをわかりやすく丁寧に説明しました。

授業終了後の授業アンケートでは、学生から

  • 高齢者への情報伝達の際、色や操作デザインなど様々な事を意識してデザインしなければならないと感じた。
  • セルフレジやキャッシュレスなどの機械化によって、機械に慣れていない高齢者と慣れている若年層の間にギャップが生まれ、ますます高齢者が情報弱者となってしまうのではないかと危機感を持った。 更に、今後私たちが歳をとっていくに連れ、また新しい技術革新があり、次は私たちがその立場になる可能性があると思った。
  • 高齢者が情報機器を扱うことは難しいかもしれないが、使うのであれば何度も触り慣れていくか、私たち若者が教えていくしかないと思った。

等、解決に向けてのアイデアも提案してくれました。

「社会情報課程」の学びとは

近年、日本では「IT人材不足が深刻化」と言われていますが、ITやAIは単に技術を知っているだけでは役に立ちません。社会の課題に目を向け、課題を多角的な視点から分析できる能力に加えて、それをITやAIで解決できる人材こそがIT人材です。

社会情報課程の1年生は、「社会情報概論」の授業を通じて、さまざまな社会のしくみや問題に向き合うことで、今まさにIT人材の一歩を踏み出しています。

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