英語英文学科

2022年度卒業研究「優秀論文」口頭諮問を実施しました

2023-02-08
学科のまなび

英語英文学科では、1月30日(月)に、2022年度の卒業研究の中から推薦を受けた「優秀論文」の口頭諮問を実施しました。出席した英語英文学科の教員と一部の学部3年次生や2年次生の前で、3名の候補者がそれぞれ論文の口頭発表と質疑応答を行い、審査の結果全員が無事に合格を果たしました。おめでとうございます!

以下、3名の卒業論文の概要とそれぞれのコメントを紹介します。

[1]  佐藤 桃華さん (コミュニケーション学:小山ゼミ)
  “A Study of the influence of cognitive and psychological distortions on the evaluation of others’ communication: Why can someone who seems perfect get on your nerves?”(個人の認知・心理的特性の歪みが他者のコミュニケーションへの評価に与える影響とその関連性の解明―完璧そうに見える人物が癇に障るのはなぜか―)


概要:

誰からも評価を受ける一見「完璧な」コミュニケーション・スタイルの人物に対してなぜか猜疑的な目を向けてしまう少数派に着目し、そうした傾向に対する認知的特性(2変数)と心理的特性(4変数)の影響を検証した論文です。シナリオを組み込んだ質問紙調査を実施(83名回答)、統計的分析の結果、猜疑的評価は認知的スキルや能力に基づいた「正しい見方」ではなく、むしろ心理特性の影響を受けた「歪んだ見方」である可能性を示唆しました。

佐藤さんからのコメント:

卒業研究は、自分が何に興味があって、何に疑問を抱くのかなど、自分を知る良い機会だと感じました。短い期間でしたが、自分の好きなテーマに没頭できるとても貴重な時間を過ごすことができました。




[2] 黒田 悠華さん (理論言語学:田口ゼミ)
 “On the true nature of stranded -no in Japanese: ga/no conversion in agreement and adjuncts.”

概要:

日本語のガ/ノ交替は50年以上議論されてきましたが、等位接続構造におけるノ格主語の意味解釈に着眼した分析は非常に独創的です。拮抗する二つの分析手法に対する論争を敢えて避け、両者を尊重しつつ提案した分析は、物事を冷静に見つめる彼女ならではだと言えます。また、独自の分析とハ残余構文との関連を基に、ミニマリズムとカートグラフィー理論の接点を示唆した点が評価され、日本言語学会のポスター発表に採択されました。

黒田さんからのコメント:

四年間の大学生活で卒業論文を頑張りました。論文の作成は専門性が求められるため大変でしたが、ゼミの先生にもサポートしてもらい良い論文を完成することができました。また、論文作成を通して、論理的思考能力を身に付けられたと思います。



[3] 山田 志穂さん (アメリカ文学:大川ゼミ)
 ”Holly’s “Mobility”: Animal Representations in Breakfast at Tiffany’s.”

概要:

主に20世紀中期に活躍したアメリカ人作家Truman Capoteの小説Breakfast at Tiffany’s(1958)について、テクストに散在する動物表象と、主人公Holly Golightlyの移動性との関連を考察した論文です。また、そうした動物表象と移動の主題が、「海賊」を喚起させるモチーフを通じて昇華されることを分析し、Hollyの満たされない帰属意識を巡る話として作品を論じています。

山田さんからのコメント:

約30分もの間壇上に上がって話す、という経験はなかなかできないのでとても貴重な体験でした。自分なりに一生懸命調べ、考え、繋ぎ合わせた努力の結晶にとても自信を持つことができました。




3名の皆さんは4月からそれぞれの進路に進まれますが、4年間で培った豊かな教養と知的好奇心をますます磨きながら、それぞれの人生で活躍されることを心から願っています。

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