心理学研究科 臨床心理学専攻 博士前期課程
不適応状態や精神症状の
メカニズムを探究し、
臨床実践により
基礎理論の修得をめざす
臨床心理学専攻は、現代社会における心理的諸問題、たとえば不登校や家庭内暴力、
職場での不適応、ひきこもり、さらにはPTSDなど、深刻な問題についての理解を深め、
このような問題を抱えている人や周囲の人に対して
適切な心理学的支援を行える専門家の養成を目標としています。
人へのあたたかいまなざしと高い倫理観、カウンセリング、
心理療法についての基礎的な知識や理論、客観的な分析力と論理的思考を身につけた専門家養成をめざし、
豊富な実習を含む教育プログラムを備えています。
学問領域
- 臨床心理学
- 認知心理学
- 教育心理学
- 発達心理学
- 社会心理学
めざす人材
心理学的支援の専門家として心の問題が生じた人や周囲の人々を支援できる人材
取得可能免許
- (公財)日本臨床心理士資格認定協会認定臨床心理士受験資格(1種指定校)
- 公認心理師受験資格
CURRICULUM
カリキュラム
臨床心理学専攻は、ますます複雑化する社会の中で生じてくるストレスや不適応状態、精神症状についての理解を深めるために、そのメカニズムを探究することのできるカリキュラムと、基礎理論の修得をもとに心理学的支援の実践をおこなうためのカリキュラムから成り立っています。特に実習時間を多くとり、そこで得られる体験を通して基礎理論の理解を深め、臨床的応用力を身につけることを目標にしています。
基礎科目
「基礎科目」では、研究の共通基盤となる科学的心理学研究法を修得します。「認知心理学特論」で実証科学としての心理学の基礎理論を学び、さらに統計法や研究法に関わる科目では、臨床心理学の実践において生まれてくるさまざまな仮説を研究として発展させ、検証し新たな知見を導き出すための高度な心理学的研究法について学びます。
- 認知心理学特論
- 心理統計学特論
- 心理学研究法特論
関連科目
「関連科目」は、臨床心理学に関連の深い近接領域の学問を幅広く学ぶことにより、人間という存在をより広い視野から捉え、多面的な理解を深めるための科目です。心理臨床実践者・研究者としての幅広い視座の形成をめざします。
- 児童精神医学特論
- 発達心理学特論
- 心理療法特論
- 犯罪心理学特論
- 投映法特論
- 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践など
専門科目
臨床実践の根幹となる「専門科目」では、カウンセリングや心理療法の理論や技法について、理論的かつ実践的に修得し、心理的支援者として活躍できる人材の育成をめざします。臨床心理学の理論を体系的に学びつつ、学内の心理臨床センターおよび学外施設において、来談されるクライエントや患者・利用者に対する心理的援助実践を積んでいきます。
- 臨床心理学特論Ⅰ・Ⅱ
- 臨床心理面接特論Ⅰ・Ⅱ
- 臨床心理査定演習Ⅰ・Ⅱ
- 臨床心理基礎実習Ⅰ・Ⅱ
- 臨床心理実習Ⅰ・Ⅱ
- 精神医学特論
演習科目
「演習科目」では、修士論文作成に向けて研究を深めます。「専門演習」では、専攻の教員と院生が一堂に会し、各院生の研究計画や研究結果の報告を検討します。「特別研究」は、実際に修士論文を作成するための個別指導であり、研究計画から実施、論文作成まで個別にていねいな指導を受けることになります。
- 臨床心理学専門演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
- 特別研究
学外実習
学外のさまざまな機関と連携し、研究をより深化させていくための実習実践を行う機会を設けています。
- 通信制・単位制高等学校
- 児童発達支援事業所
- 発達障害者支援センター
- 総合病院精神科 など
科目
ピックアップ
臨床心理学特論Ⅰ・Ⅱ
心理学的支援を行う場合、まず現象を的確に理解し、それへの取り組み方の選択をし、介入による予後の見立てを行わなければなりません。そのための学問体系を学び、現場実践につなげます。
臨床心理面接特論Ⅰ・Ⅱ
心理面接の基本となる、関係性の持ち方、傾聴や共感的理解を基盤に、各種の技術を学びます。実践的なカウンセリング技法の習熟と体験を通しての自己理解の促進につとめます。
臨床心理査定演習Ⅰ・Ⅱ
支援の対象者の心理的能力および人格・行動傾向について、的確なアセスメントと介入方針が立てられるよう、検査実施の基本について、実習を通してマスターします。
臨床心理基礎実習Ⅰ・Ⅱ
1年次において学内外の施設で実際に心理学的支援を行う実習で、事例の検討会も行います。受理面接への陪席、担当事例の検討、発表を通して対人援助の専門家としての基本を身につけます。
修士論文題目
- 家族介護に対する女子大学生の意識を規定する要因について
―介護選択場面のわりきり・あきらめに着目して― - 電話相談ボランティアのレジリエンスが長期継続動機に及ぼす影響について
―感情労働とストレッサーの関連より― - 震災に伴う高齢者の心理的過程について
- 難聴者が「きこえにくさと共に生きるということ」とその捉え方の変容過程
- 大学生における情報処理スタイルと情報過多感が精神的健康に及ぼす影響
- セルフコントロールとストレス要因がインターネットゲーム依存に与える影響
- 大学生の過剰適応傾向と他者からの期待の受け止め方、ストレス反応との関連
- 介護を必要とするペットの主介護者における介護負担感の軽減に関する検討
―パーソナリティ特性・介護肯定的評価・ソーシャルサポートの観点から―
<心理学研究科・心理学科の紀要「プシュケー」に論文を投稿し公表できます。>
GRADUATE’S VOICE
在学中から臨床家としての実践経験を積み、
ダブルライセンスを取得しました。
臨床心理士と公認心理師の資格を取得し、公務員の心理職として採用されました。キャンパス内に大学附属の心理センターがあるため、在学中から心理検査や心理面接を担当する機会が多く、手厚い指導のもとで実践経験を積むことができました。学外では病院や教育、福祉の現場で実習を行い、それぞれの現場の雰囲気をつかみながら将来像をイメージできました。今後は児童心理司として、保護された子どもや相談に訪れた保護者などの支援を行っていきます。客観的なデータに基づきながら、一人ひとりの特性や家庭環境を汲み取り、困っている親子のために力を尽くしたいです。
奈良県中央こども家庭相談センター こども相談課(児童心理司)
古谷優実
心理学研究科 臨床心理学専攻(博士前期課程) 2022年修了
主な就職先
- 精神科病院(心理)
- 精神科クリニック(心理)
- 少年鑑別所 矯正専門官
- 都道府県警察署 少年補導職員
- 国立がん研究センター(心理・研究)
- 小中学校 スクールカウンセラー
- 教育相談センター 相談員
- 大学 学生相談室 相談員
- 児童発達支援事業所 発達支援員
- 児童心理治療施設(心理)
- 地域福祉支援センター(心理)
- 児童相談所 心理判定員
- 発達障害者支援センター(心理)
- 総合病院精神科(心理)
- 地方公務員(心理職)